マンションの「宅配ボックス」に巨額のカネが…警視庁特捜課が暴いたトクリュウの新手口「空ロック」とは? “国家公務員宿舎”の宅配ボックスが悪用されたケースも
2つの別の詐欺グループ
衰退する暴力団に代わり、組織犯罪の“主役”に躍り出た感のあるトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)。その最大の資金源と言われる特殊詐欺に新たな手口が登場し、捜査関係者の注目を集めている。警視庁特別捜査課は7月10日、2つの特殊詐欺グループを検挙したと発表したが、両グループは現金の回収役と受け子がマンションなど集合住宅の「宅配ボックス」を悪用して現金のリレーを行っていた。
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警視庁幹部は「ネット通販などeコマース全盛の時代が到来し、宅配をめぐり置き配トラブルとともに“空(から)ロック”のトラブルが増加していたが、まさかその空ロックが犯罪にも流用されるとは……」と絶句。警視庁では「手口が拡散する前に芽を摘んでおかねば」と意気込んでいる。その最前線を取材した。
空ロックとは、ボックス内に荷物が入っていない空の状態にもかかわらず、鍵がかけられて使用できない状況をさす。テンキー(暗証番号)式の宅配ボックスが、常に満杯となってしまうことから、社会問題化している。
ロックが起こる原因には、住民の子供のいたずらというケースもあるが、問題視されているのが、配達員によるボックスの「私物化」や「キープ」だ。一部の配達員が再配達を避ける目的で、自分の荷物がスムーズに預けられるようにスペースを確保するため、あらかじめ空のボックスに暗証番号を設定して占有するケースが多数、確認されている。
同じ配送拠点の配達員同士で暗証番号を共有し、組織的にキープしていた事例もあるほか、警察関係者は「競合する他社への妨害や、嫌がらせの例も確認されています」と打ち明ける。
今回検挙された2グループの一方は日本人グループで、昨年8月に都内の女性(88)宅に息子を装ってオレオレ詐欺の電話をかけ、「急に手術を受けなければならなくなった。おカネが必要だから代わりに同僚が取りに行くから」と嘘を言い、現金800万円をだまし取った。この際、当時19歳だった受け子の男が女性から現金をもらい受け、東京都練馬区の国家公務員宿舎の空の宅配ボックスに入れてロック。逮捕された津田雅斗容疑者(41)に秘匿性の高い通信アプリで連絡。同日中に津田容疑者が現金を回収していた。
犯行前に津田容疑者は、周辺が防犯カメラに映らないことを確認。宅配ボックスに報酬の5万円を入れておき、男に通信アプリでボックスの暗証番号を送信していた。この事件で警視庁は、津田容疑者らトクリュウのメンバー5人を逮捕。このグループが昨年1月から9月にかけて、特殊詐欺によって合計40人から1億1260万円をだまし取っていたとみている。
またもう一方は中国人のグループで、今年5月から6月の間、宮城県の女性(58)に「国民年金の還付が受けられる」と嘘の電話をかけて現金を振り込ませ、他人名義のキャッシュカードで引き出す手口などで数十万円を窃取していた。
逮捕された任百暁容疑者(37)ら30代の男女3人は、30人をだまし、計2600万円を得ていたとみられており、上記の事件同様、カードや現金を、空の宅配ボックスを介して受け渡ししていた。
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