20年の恋を貫いた結果…余命半年の妻は面会拒否、息子からは「ろくな死に方しない」 47歳夫の「こっちも覚悟の上だった」
ハネムーンベイビーに恵まれて
喪失感のあまり、彼は何か目に見える成果がほしかったのかもしれない。話は一気に進み、半年後には結婚式を挙げた。26歳だった。芙実さんとのデートは3回しかしていない。その後は結婚式の準備に追われ、事務的なことばかり話していた。
「芙実はめんどうなことを全部引き受けてくれました。席順なども、僕に聞きながら彼女が作ってくれたし、招待状の文面やデザインなども彼女が心を込めて作った。アットホームな温かい披露宴にしたいというのが彼女の望みでした。僕は報告を聞きながら『うん、いいね』しか言ってないと思う」
新婚旅行で初めて結ばれた。彼女は男性を知らなかった。彼も、実は風俗以外の女性は知らなかった。お互いに異性に対して疎いことがわかって、ふたりの心は寄り添い始めたという。
「ハネムーンベイビーができました。これで落ち着いて生活ができる。自分の生まれ育った家庭を思い出し、あんなふうに子どものために生きていけばいいんだと思えたんです」
心のどこかにぽっかりあいた穴を感じながらも、そこを埋めようという思いは薄れていった。穴は穴として置いておけばいいと思った。他のものでは代用できないのだから。
「27歳で父親になり、子どもだけは裏切れないという思いで仕事をしていました。芙実はしばらく子育てに専念したいと仕事を辞めました。家庭のことは彼女に任せたほうがうまくマネジメントしてくれると思ったので、僕は仕事と次の休みはどうしようということばかり考えていました。幸せな家庭生活だったと思う」
ところが、二度目の再会…
34歳のとき、かつて通っていた予備校の近くに仕事で訪れたことがある。懐かしくなって予備校の前まで行ってみると、門を出てくる麻由美さんと真正面からばったり会った。
「電気に打たれたみたいに立ち止まって固まりました。彼女も固まっていた。何かに導かれたとしか思えなかった。そのままカフェに入って、お互いに現状報告をしたんです。彼女は夫の転勤で戻ってきた。息子も高校生だからまた仕事を始めようと思って相談に来たところだと言っていました。転勤先でも塾講師などを続けていたようです。僕が結婚して、やはり息子がひとりいると伝えたら、彼女は『そう』と言って顔を背けました。涙がぽろっとこぼれたのを見て、いてもたってもいられなくなった」
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