土俵際でジャンプした「大の里」は横綱として“姑息”か? 改めて問いたい「死に体」の判断基準…大の里は「負け」でも、豪ノ山を「勝ち」とすることへの違和感

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相撲の勝負が決まる局面は2通り

 審判長の言う「身体が円の外に出ている、絶対戻ってこれない」という基準が、現在は勝負判定の鉄則になっているらしい。その基準に照らして「大の里の負け」と判断された。

 しかしそれは相撲の原則を揺るがす重大な拡大解釈と言えないだろうか? こうした勝手な解釈を加えると、他の視点で見た時に簡単に矛盾が露呈する。そんな心配はないだろうか。

 本来、相撲の勝負を決める規則は明快だ。大相撲(日本相撲協会)は競技規則を公式ホームページで公開していないから、アマチュアの公益財団法人日本相撲連盟審判規程を引用する。その第7条にこう記されている。

『勝負判定については、この規程に別段の定めがある場合を除き、次の各号に該当する場合、当該選手を勝ちとする。(1)相手選手を先に勝負俵の外に出した場合(2)相手選手の足の裏以外の一部を先に土俵につけた場合』

 要するに、相撲の勝負が決まる局面は2通りしかない。

「先に土俵の外に出た方が負け、出した方が勝ち」「土俵に足裏以外の身体が触れた時点で負け、触れさせた方が勝ち」。相撲ファンなら誰もが知っている大原則だ。もちろん、例外もある。相手や自分のケガを回避するためにする「かばい手」は許され、先に手を着いても勝利が認められる。

 早速、ひとつ例題を出してみよう。

 練習問題:土俵際で押し込まれ、上体が後ろに反り返った態勢で相手を右または左に投げる〈うっちゃり〉は正規の技であり、ファンを沸かせる人気抜群の決まり手のひとつだ。押し込まれた力士Aが相手力士Bに〈うっちゃり〉を打った時、勝負の行方は「どちらが先に土俵に手や身体を着いたか」で決まるはずだ。たとえAの身体が下であっても、投げを食らって先にBが手を着いたら、Aの勝ち、Bの負け。そう信じて今日まで相撲を見続けてきた。しかし、先の審判長の見解を当てはめると、わからなくなる。

 力士Aは、力士Bに圧倒され、身体全体が土俵下に倒され、背中が土俵外に大きくのけぞっている。この態勢から再び起き上がることは不可能り、ほとんど体がない。その時点で力士Aは負けと判断されるのだろうか?

 相撲関係者はもちろん、次のように反論するだろう。「うっちゃりの場合、力士の足がまだ土俵の中に残って地面に着いている。しかも相手の身体にしがみついて逆転の可能性を残している」と。

「だったらその体勢から身体を起こして土俵に戻れますか?」と聞いたら審判長はどう答えてくれるだろう。「土俵に戻れるか」が基準なら、背中が後方に深く傾いた時点で負けとするべきではないか?

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