「怖くて付けられない」の声も…誕生から20周年のマタニティマーク、本来は“席を譲ってもらうため”のものではなかった

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妊婦たちが感じたリアルな優しさ

 取材を進めると、SNS上の言葉とは異なる、マタニティマークを付けていたことによる体験談が次々と出てきた。

 3人の子を持つ由香さん(仮名・38歳)は、妊娠中に駅のホームで、つわりのため動けなくなったことがある。

「駅員さんが『つわりですか?』と声をかけてくださって、車椅子で休める場所まで運んでくださいました」

 嫌な思いをしたことは一度もないという。

 2児の母・麻衣さん(仮名・36歳)にも、忘れられない出来事がある。妊娠初期、まだお腹が目立たない頃、後ろから肩をたたかれ席を譲られた。「リュックに付けていたマタニティマークを見てくれたんだ」と気づいたという。

「席を譲ってほしいためのマークだと思われがちですが、そうじゃない。何かあった時に自分の身を守ってくれるもの。怖がらず、堂々とつけたらいいと思う」(麻衣さん)

マタニティマークが次に目指すもの

 最後に、寺田先生が残した言葉はこうだ。

「少子化に歯止めがかからない今、小さな命を守っていくこと、そのためにもマタニティマークを守っていくことが大切です。誰もがいつ弱い立場になるか分かりません。社会全体で支え合い、譲り合える社会をつくっていく必要があります」

 マタニティマークが問いかけているのは、妊婦の話だけではない。誰もがいつか支えられる側になるという、ごく当たり前の事実なのかもしれない。

取材・文/浦上優

デイリー新潮編集部

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