「怖くて付けられない」の声も…誕生から20周年のマタニティマーク、本来は“席を譲ってもらうため”のものではなかった

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本来は「席を譲ってもらうマーク」ではない

 そもそも、このマークはどのような目的で生まれたのか。助産師の鈴木美保子さん(57歳)はこう説明する。

「妊娠初期はお腹も目立たず、周囲には妊婦であることが分かりません。例えば電車で意識を失い救急搬送された場合に、つわりや貧血の可能性にも注意してもらえる。気づかれないままだとレントゲン検査や投薬が行われてしまう可能性もあります」(鈴木さん)

 妊娠中であることが一目で分かれば、救急隊員や周囲が適切な配慮をとれる。  

 鈴木さんは「マークの本来の意味が社会に十分伝わっていないために、『席を譲ってもらうためのマーク』という誤解だけが独り歩きしている」と指摘する。

 さらに、不妊治療を経験した女性がマタニティマークを見て「つらかった」と話していたにもかかわらず、自身の妊娠後には「いざという時のために付けたい」と考えが変わった例も鈴木さんは目にしてきた。

「立場が変わって初めて見えてくることがたくさんある」と話す。

専門家が語る、20年の変化と課題

 マタニティマーク誕生時に制度づくりに携わった、東京成徳短期大学特任教授の寺田清美氏は、18~25歳の学生123人を対象にマタニティマークに関するアンケートを実施した。その結果、120人(97.6%)がマークを「知っている」と回答。一方、「妊娠初期の妊婦にとって効果がある」と回答したのは93%。「認知は広がっても、妊娠初期のつらさや流産のリスクへの理解は、まだ十分とは言えません」と指摘する。

 ネット上の「怖い思いをした」という妊婦の声については、「悲しいことだが、事実はきちんと受け止めなければなりません」と話す。一方で、自身が産後間もない母親たちに聞き取りを行ったところ、「マークを付けていたから席を譲ってもらえた」という声も多く寄せられたそう。

 さらに寺田氏は、もう一つ気になる変化として、ヘルプマークの普及を挙げ、配慮を必要とする人が多様化する中、妊婦への配慮がやや薄れているのでは……と指摘する。状況によっては、特に妊娠初期の妊婦がヘルプマークを併用することも、一つの方法ではないかと話す。

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