洪明甫監督に「殺人予告」も…イングランドでは「首相の次に重要な職務」と称えられる「サッカー代表監督」のドラマ W杯に優勝した全監督の“意外な共通点”とは

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〈一生出入り禁止〉

 6月下旬、韓国・ソウル市内の一部の飲食店やコンビニに、ハングルで掲げられた貼り紙である。その文字前には「洪明甫」の人名があった。

 洪明甫(ホン・ミョンボ)は、今回のW杯韓国代表監督としてチームを率いたが、1次リーグで敗退し、辞任。その前後からこの類いの掲示が増えたのである。合成写真の可能性もあるが、「(洪明甫は)乗車拒否!」と前方ドアに貼るバスや、SNSでは本人に対する殺害予告もあったという。さらに決定的だったのは、同国大統領の、結果を受けてのSNSでの一言だった。

「無能な人物を指揮官に選べば、結果は火を見るより明らかだ」(李在明大統領。6月28日。拙訳)

 W杯もいよいよ大詰め。一方でこのような監督辞任の報道も、後を絶たない。今回はW杯監督の数々の辞任&解任騒動をピックアップしたい。

「首相に次ぐ職務」

「首相に次ぐ、国内で2番目に重要な職務」

 イングランドでサッカー代表監督を表す決まり文句。さすがはサッカー発祥の地である。欧州は、サッカーのプロ化が早かった国が多いため、その重責も半端ないようだ。例えば1998年、ブルガリアを率いたボネフ監督は大会後も続投したものの、EURO2000予選で敗退すると「もう疲れてしまった」と言い残し、協会から慰留されながらも辞任。同年、ドイツのフォクツ監督はベスト8で敗れると、直後に記者の機先を制すように言った。

「進退については自分で結論を出さなければと思うが、それを試合の30分後に決めることは出来ない!」

 なぜマスコミの目が厳しいかには理由がある。W杯の2年後には、ヨーロッパ1の国を決める「UEFA欧州選手権」(ユーロ)があるためである。W杯の合間の4年に一度開かれる同大会で、欧州の代表監督は気が休まる暇がない。事実、前出のフォクツ監督は、W杯直後は何とか監督に踏みとどまったものの、直後の親善試合で、安パイと思われたマルタに辛勝し、ルーマニアに引き分けると、報道の論調も厳しくなり、自ら辞任してしまった。その際のコメントは以下だった。

「自分自身の威厳を保つためだ! 私個人に照準を合わせた最近の非難は耐えられない!」

 02年W杯、アイルランドのマッカーシー監督は同国にしては上出来のベスト16となり、周囲の熱望で続投も、直後のユーロ予選の2連敗で一気に風当たりが強くなり、辞任。

「W杯のあまりの好成績がアダになったかも知れないが、その記録の方は、地に足をつけて残り続けるよ」

 何とも誇らしげな退陣コメントには、取材するマスコミの方が、むしろバツが悪そうだった。欧州でのサッカーの過熱報道ぶりがわかる、イタリアのトラパットーニ監督の言葉も紹介しておこう。

〈「本当のところ、ジャーナリストは2カ月ごとに監督を代えたがっている」〉(読売新聞2002年11月12日付)

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