高市首相に飛び交う「数の暴力」「答弁拒否」批判…“空転する国会”で垣間見えた「安倍元首相」との決定的な違い 「安倍政権で問題解決に奔走したのは…」

国内 政治

  • ブックマーク

 6月末から国会の空転が続いた。与党の強引な国会運営に野党が反発し、全ての審議への出席を拒否するという異常事態となった。その最大の原因は「高市早苗首相の姿勢にある」との指摘も少なくなかった。なぜなら「国会できちんと説明責任を果たしているようには見えない」からだ。もし高市陣営による中傷動画の作成・拡散疑惑などのスキャンダルを、野党に追及されたくないために質疑から逃げているとしたら、「身勝手」「国会軽視」と厳しく批判されても仕方ない。だが、7月6日の自民、立憲民主両党の参院国対委員長会談で、自民党は首相出席の参院予算委員会集中審議と党首討論の開催に応じる考えを表明。参院では国会審議が正常化する見通しとなった。しかし、衆院は空転のまま。国会終盤、まだ何が起こるか分からない。【村田純一/時事通信社解説委員】(全2回の第1回)

 ***

 野党が要求してきた集中審議、党首討論、参考人招致に高市・自民党が応じれば、国会は直ちに正常化するはずで、高市首相は堂々と国会審議に応じればいいだけの話だった。

 高市首相の秘書の参考人招致には合意に至らず、野党側の不満は残るところだが、7月6日の参院決算委員会から参院での審議は事実上、正常化された。

 一方、衆院の方は6日午後も正常化への打開策が見えないままだ。日本維新の会が強く求める衆院議員定数削減と「副首都」創設の2法案については、自民、維新の与党が野党抜きで衆院審議を強行した。

 強引な国会運営に野党は「横暴だ」と反発を強め、2法案を撤回しなければ皇室典範改正案の審議に入らない構えだ。与野党は全面対決に突入、引くに引けぬチキンレースとなった。なお森英介衆院議長が皇室典範改正案の審議を最優先とするよう求めたが、審議入りの見通しは立っていない。

 国会はなぜ、与野党が全面対決する展開となったのか。振り返れば、6月22日の衆院予算委員会での首相答弁に遠因がある。

 首相の公設秘書が、自民党総裁選や衆院選で他候補を中傷する動画の作成・拡散に関わったとされる報道を巡り、首相が秘書の説明を「陳述書」として衆院予算委理事会に提出する意向を示したことが与野党対立激化の発端と見ていいだろう。

 中道改革連合の後藤祐一衆院議員が、中傷動画作成や「サナエトークン」(首相の名前を冠した暗号資産)の開発に関わったとされる男性と秘書との関係をただした際、首相は自らの関与を否定する一方、秘書の陳述書をもって、「詳細な答弁とさせていただきたい」と述べた。

頑なに拒否する高市首相

 事前通告された質問に対し、自らは答弁せず、書面回答で代えようという異例の対応。国会では「呆れた」と驚きの声が上がり、野党側が「答弁拒否だ」と猛反発したのは当然だろう。

 6月26日、自民党と日本維新の会は、定数削減法案と「副首都」創設法案の審議入りを委員長職権で決めた。7月17日の会期末が近づく中、衆院で3分の2超の議席を占める与党の「数の力」を背景にした強行突破だ。

 野党側は、首相出席の集中審議と党首討論を7月に行うことを条件として求めていたが、首相は当初、自民幹部からの出席打診を「応じる理由がない」と頑なに拒んだという。

 野党5党は6月26日の国対委員長会談で、衆院での一切の審議を拒否することを確認した。特に、定数削減法案は、衆院議長の下に設けられた与野党協議会で1年以内に結論が得られない場合、比例代表の定数を自動的に45削減する内容。比例代表議員の割合が多い政党ほど議席の減少率は大きく、野党各党は「与党有利の削減案」(国民民主党幹部)と反発している。

 国会運営を巡り野党の要求をいつまでも首相が拒否すれば、国会の正常化は見通せないだろう。中道改革連合の重徳和彦国対委員長は「数に物を言わせた暴挙だ」などと政権与党の対応を厳しく批判したが、首相の耳には届いていないだろう。

次ページ:安倍元首相と高市首相の違い

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。