「鉄道ファンは鉄道会社に入れない」は都市伝説か? 鉄オタの駅員が明かす就活で“熱量”よりも重視される「2文字の要素」とは
鉄道ファンは鉄道会社に入社できない――そんな議論がSNS上でたびたび巻き起こっている。曰く、鉄道会社は鉄道ファンを入社させないようにしており、面接の際に鉄道ファンらしさを出すと入社できない、という都市伝説が存在するのだという。
その一方で、JR東日本の社長・喜㔟陽一氏は、“硬券”の切符をコレクションしていたことを公言している。ゆえに、喜㔟氏は“相当な鉄道ファンではないか”という意見も出ている。本当に鉄道ファンは鉄道会社に入社できないのだろうか。現役の鉄道会社の社員に話を聞いてみた。【取材・文=宮原多可志】
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鉄道ファンでも入社できる
筆者からの質問に、開口一番、「鉄道ファンでも普通に入社できますし、社内に鉄道ファンはたくさんいます」と話すのは、JRグループの社員であるAさんである。そして、「鉄道ファンが入社できないというのは都市伝説。面接の際もそんなことは聞かれませんでしたから」と、真相を話す。
Aさんは鉄道好きの女性で、現在は駅員を務めている。そして、夫は運転士を務めており、夫婦ともに鉄道ファンだ。Aさんはこのように話す。
「私と夫はこの会社のなかで出会って、結婚しました。会社によって事情は異なると思いますが、少なくとも私は入社面接で“あなたは鉄道ファンですか?”とは聞かれませんでしたし、夫も聞かれていません。2人とも問題なく就職でき、上司や同僚にもオタクであることは認知されています。趣味のせいで、就職してから冷遇されたことも一度もありません」
Aさんは、このようにも続ける。
「就職の際に問われるのは、その人の人間性や資質、仕事への適性でしょう。鉄道オタクであろうとなかろうと、選考にはあまり関係ないと思います。そもそも、どんなに鉄道が好きでも、熱量だけでは仕事はできません。電車の運転も、駅員も、ただファンだというだけでできる仕事ではありませんから」
“運転”ができるのは究極の魅力
やはり、就職活動で重視されるのは、本人の適性なのである。思想信条で差別するのは論外だし、何より鉄道会社としては、入社してしっかり仕事をしてくれれば、どんな趣味でも問題にしないということだろう。その一方で、Aさんはこのようにも話す。
「鉄道好きが鉄道会社に入社すれば、本当に楽しいと思いますよ。これは私が実感していますし、心からそう思います。鉄道の裏側がわかるのは、やっぱり社員だけの特権で、何といっても、夫のように列車の運転ができるのは究極の魅力だと思います。
フェラーリやポルシェなどの高級車は高価ですが、努力をすれば購入することができるわけです。ところが、列車に関しては基本的に購入できず、運転もできません。実際に運転できるのは、鉄道会社に入社した人だけなのです」
廃車になった車両を個人で購入したり、運転体験のようなエンタメを実施している施設もあったりする。しかし、言うまでもなく、実際に運転席に座って、現役の列車を運転できるのは鉄道会社の社員だけなのだ。
「もちろん、お客さまの命を預かっているので、趣味のような感覚では運転できません。ただ、夫は鉄道ファンだからこそ、乗り心地がいいと感じてもらいたい、そして絶対に事故を起こしてはいけないという使命感をもって運転しています。鉄道のイメージを崩さないように仕事をしているのは私も同じで、お客様に駅を気持ちよく利用してもらえるように努力しています」
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