“怪しい起業家”松井健氏はそもそも「中傷動画」を作成していたのか… 高市首相も週刊文春も信用できない理由

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「高市氏は感情をあらわに反論」

 高市早苗首相(65)の「中傷動画問題」で、国会審議は“根競べ”の様相を呈している。高市陣営の疑惑について追及を続ける野党に対し、首相は否定を繰り返す。この問題に火をつけた「文春報道」にも疑義が生じるに至っては、いったい何を信じればよいのか。

(2026年6月26日に「新潮QUE」で配信した記事をもとに再構成しました)

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 国会で審議などの運営にかかる費用は、1日当たり約3億円との試算がある。

 ならば、高市首相の「中傷動画問題」を巡る終わりの見えない国会論戦で、失われたわれわれの血税はいくらになるのか。イラン情勢に伴う経済安保問題、物価高対策から消費減税のあり方など、国会で議論すべき重要課題は山積している。

 にもかかわらず、この1カ月の国会審議は「中傷動画問題」に多くの時間が割かれてきた。昨年10月の自民党総裁選や今年2月の衆院選で、高市陣営が対立候補の誹謗中傷動画を作成してSNSに拡散させた疑惑。6月22日に行われた衆参予算委員会の集中審議でも、高市氏は野党議員から集中砲火を浴びた。

 政治部デスクが言う。

「これまで野党がただしてきたのは、高市氏の公設第一秘書である木下剛志氏が、誹謗中傷動画の作成と拡散を起業家・松井健氏に依頼したのかどうかです。この日の質疑で挙がったのは、両者がグループLINEでやりとりをしていたのではないか。また今年3月に首相の名前を冠した仮想通貨として問題となった『サナエトークン』についても、木下秘書は松井氏にお墨付きを与えていたのではないか。一連の疑惑を問われた高市氏は感情をあらわに反論しました」

答弁にブレが

 高市氏は、こんな“秘策”を口にした。

「中傷動画や仮想通貨の疑惑対応に追われて、睡眠時間や首相としての業務時間にも支障が出ていると訴えた。その上で、木下秘書の陳述書や関連資料を後日提出することで、答弁としたいと述べたのです」(前出のデスク)

 これにも野党は“国会軽視だ”“書面で幕引きを図ろうとしている”などと猛反発。あくまで木下秘書の証人喚問を求めて審議拒否をチラつかせるなど、国会は空転の兆しを見せている。

「高市氏は“秘書に確認したが、松井氏とは面識がない”と繰り返し述べるだけで、疑惑を報じた週刊誌が示した数々の物証について、何ら具体的に反論できていません。答弁にはブレがあって訂正に追い込まれる事態になっています」(同)

 だが、高市氏への攻勢を続ける野党に水を差す出来事が、国会の外では起きていた。これまで野党が、中傷動画疑惑の動かぬ証拠として、金科玉条のごとく国会で取り上げてきた『週刊文春』の特集記事について、重大な疑義が生じたのだ。

証拠に欠陥が

 同誌を発行する文藝春秋は、6月16日に週刊文春電子版の公式サイトで、以下のような発表を掲載した。

〈4月29日から公開している高市早苗首相に関する記事について、一部の動画に時系列上の問題点が確認されたため、関連動画の公開を一時停止し、併せて本文も修正しました〉

〈今回の訂正は一部動画の時系列に関する部分にとどまります。高市事務所が総裁選や衆院選において、動画などで対立候補に対する誹謗中傷を行っていた事実関係は、複数のSNS上のメッセージなどによって裏付けられています。疑惑の根幹を揺るがすものではないと認識しています〉

 かような事態になった経緯を「週刊文春」は6月25日号の特集記事「高市首相『中傷動画』全ての疑問に答える」の中で説明した。疑義が生じた動画を検証した結果、〈松井氏側が作成したもののうち、四本の動画に時系列上の齟齬(そご)がある写真が使われていることが判明した〉と明らかにしたのである。

 これまで同誌は、4月末から6週連続で、木下秘書と手を結び中傷動画に手を染めたとする松井氏の実名告発記事を掲載してきた。その中で疑惑の根拠となる“証拠”に重大な欠陥があったというわけだ。

文春の訂正で高市陣営の関与が全て否定されるわけではないが……

 当然ながら、文春は件の釈明記事の中で、こうした事態になった理由を松井氏に問いただしている。

 その回答は、松井氏の代理人である弁護士を通じてなされたとして〈スタッフに動画データの復元・探索を依頼し、見つかったものを文春側に転送しました。このような事態になって驚いています〉などと、まるで他人事のようなコメントを紹介しているのだ。

 実は一連の文春報道に対しては、ネット上で再三「中傷動画に使われている写真の時系列がおかしい」との指摘が上がっていた。

「私も実際に確認しましたが、例えば文春が昨年の総裁選で流されたと報じた小泉進次郎氏への中傷動画には、フィリピンで今年2月25日に撮影された写真が含まれていたのです」

 とは、ITジャーナリストの篠原修司氏だ。

「その写真はエドゥサ革命40周年にあたる日のデモだと推察できましたが、撮影した本人に確認すると、案の定、その通りでした。これは総裁選も衆院選も終わった後になりますから、対立候補を中傷するための動画に入れられることはあり得ません。これが、いつ、何のために作られたのかは、もはや提供者である松井氏本人にしか分からない。彼から納得できる説明がない限り、証拠として使えるものではありません」(同)

 文春の訂正で高市陣営の関与が全て否定されるわけではないが、疑義のある証拠を提供したとなれば、松井氏の証言の信ぴょう性自体が疑われてしまう。

「新潮QUE」公開中の関連記事【中傷動画問題で空転する国会 「週刊文春」も「高市首相」も信用できない「これだけの理由」】では、松井氏の知られざる経歴や、そもそも松井氏が中傷動画を作成していたのかという点についてより詳しく報じている。

週刊新潮 2026年7月2日号掲載

特集「中傷動画問題『週刊文春』も『高市首相』も信用できない理由」より

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