「カルピス」の透明感だけじゃない 19歳・當真あみが「正統派美少女」の枠を脱した「ヒロイン力」

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自然な芝居

 當真が芸能界入りしたのは2020年、沖縄でスカウトされたことがきっかけだった。22年に「カルピスウォーター」CMへ出演すると、制服姿がぴったりの清純派ぶりを印象付ける。

 2022年に「妻、小学生になる。」で、15歳で初めてドラマ出演を果たすと、同年12月にはアニメ映画「かがみの孤城」で、オーディションで主演(声)を獲得する。まだこの頃は「透明感」「清純」といったありきたりなワードでくくれそうだった當真が、その枠を脱していくのは、NHK「ケの日のケケケ」(2024年)あたりからだろう。

 演じた片瀬あまねは、感覚過敏を抱えながら高校生活を送る少女。周囲には理解されにくい生きづらさを抱え、居場所を探していく役柄である。

 聴覚を抑えるヘッドフォンを着用し、すべての感覚が過敏ゆえ部活動も、昼休みを教室で過ごすのもままならないし、好意を持たれた相手に抱きしめてもらうこともできない。すなわち学園ドラマの定番がほぼ排除された物語である。そんな中で、感覚過敏への理解が薄い大人と戦ったり、自分なりに学校を生きていく姿を素朴に表現した。

 14歳でスカウトされたところからも、光るものはあったに相違ない。表舞台に出てからも、當真のたたずまいは親しみやすさがありながら、不思議と生活感を感じさせない。演じてきた役柄も、いずれも感情を大きく爆発させるというより、表情や視線のわずかな変化で人物の心の動きを表現するタイプだ。

 何を考えているのか、どんな感情を抱えているのかを全て説明しない。そのため視聴者は役柄の心情を自ら想像しながら物語に入り込むことになる。

 押し付けがましさのない自然な芝居は、當真の大きな武器と言えるだろう。だからこそ思春期の揺れ動く感情や、不器用ながら懸命に前を向こうとする人物像に説得力が生まれる。

 このあたりは「終点のあの子」でも、女子校というクローズドな空間で生きる少女の芝居に反映されていた。自然体でありながら、確かに役の人生が見えてくる。その繊細な表現力が、早い段階から業界関係者の目を引いてきた理由でもあるだろう。こんな経験からか、今年4月のテレビ朝日ドラマプレミアム「無垢なる証人」でも自閉スペクトラム症の少女を演じていた。

 芝居心は声優としても発揮されている。3月に公開が始まったアニメ映画「パリに咲くエトワール」は、口コミでじわじわと評判が上がり海外の映画祭でもノミネートされるに至る。

 この作品で演じた画家志望の少女・継田フジコ(名前からして、藤田嗣治がモチーフの1人)は、戦前にパリに渡って画家修業をしたり、友達の千鶴と再会して彼女の夢を応援したりしていく。その芝居も素の彼女の声色を活かしつつ、いつの時代もありがちなティーンの葛藤をしっかり声にのせていた。

 映像でも声でも、無理のない演技なのに人を共感させる力がある。これがただ雰囲気だけでない、當真のヒロイン力の源だろう。SNSやバラエティーでバズる話題を提供するタイプではないが、こうして着実に信頼を得てきた。

 今年は久しぶりに「カルピスウォーター」のウェブCMにも登場。やっぱりその爽やかな美少女ぶりが万人の目を惹きつけるが、それだけではない。どんな作風・役柄でも必要とされる存在となりそうだ。

大宮高史
エンタメでは演劇・ドラマ・アイドル・映画・音楽にまつわるインタビューやコラムを執筆。そのほか、交通・建築など街ネタも専門分野。

デイリー新潮編集部

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