どんどん減っている「純粋な」お笑い番組 大逆風の中、粗品「ツッコミスター」が異例の高評価を勝ち取ったワケ
ツッコミを競技化
この番組では、「色」や「数字」など、ボケではない普通のものがお題として提示される。そこにツッコミを放つことで笑わせるというのは、ツッコミがボケを兼ねているとも言える。このような形式でツッコミを競技化したのが画期的だった。
優れたツッコミとは、単に大声で間違いを指摘することではない。何を拾い、どこを誇張し、どの言葉を選べば最も笑いが膨らむのかを瞬時に判断する、高度な編集作業なのだ。
番組では、その能力をさまざまなお題によって分解し、競技として可視化した。これは「芸人を集めて面白いことをさせる」という従来型の番組とは異なる。普段は感覚的に受け取られている笑いを、ゲームのルールに落とし込み、視聴者にも技術の差が伝わるように設計していた。
勝敗が決まる形式でありながら、完成された漫才やコントを披露するのではなく、芸人が目の前の状況にどう反応するかを競わせる。そこにはお笑い番組ならではの即興性と緊張感があった。
「有吉の壁」のレギュラー放送が終了することや、女性芸人限定のお笑いコンテスト「女芸人No.1決定戦 THE W」が今年は開催されないことなどが報じられ、テレビのお笑いは逆風にさらされている。そんな中で、純粋に笑いを追求した「ツッコミスター」が高視聴率を獲得して、業界内でも高く評価されているというのは、貴重な明るいニュースであると言える。
もちろん、この成功によってお笑い番組が一気に増えるわけではない。ただ、粗品という人物の才能とリーダーシップを生かして、お笑い番組を新たに立ち上げて、それを軌道に乗せたことには意義がある。お笑い番組再生の鍵は、万人に嫌われない無難な番組を作ることではなく、誰かが自分の面白さを信じて、その基準に責任を持って番組を作ることなのだ。
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