「特殊浴場」「愛人バンク」「楼蘭」…御年76歳の現役最年長「風俗ライター」が振り返る半世紀 大蔵官僚の秘密の接待店が“しゃぶしゃぶ”だった理由

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〈愛人バンク〉という名称誕生の秘密

 伊藤さんは、風俗の歴史を語るうえで欠かせないエポックにも立ち会ってきた。1982(昭和57)年暮れ、ある雑誌で、目新しい広告を見つけた――「かわいい学生、OLが、ハートもカラダも月4~5回のデート交際中にあなたに尽くします」。

「要するに、素人がお相手するというわけです。写真を見ると、主宰者の筒見待子はかわいらしい女の子です。組織名は〈愛人バンケット機関・夕ぐれ族〉とありました」

〈夕ぐれ族〉とは、1978年にベストセラーとなった、吉行淳之介の小説『夕暮まで』(新潮社刊)からとられている。1980年には、黒木和雄監督、桃井かおり+伊丹十三主演で映画化された。若い女性と中年男性の関係を描く物語だ。

「さっそく取材に行きました。男性は入会金20万円で愛人志願の女の子と“お見合い”し、合意できれば愛人契約を結ぶ。あくまで結婚相談所とおなじで、事務所は仲介をするのみ。その先、どうなるかは関知しない……しかし、この〈愛人バンケット〉という名称が、どうもピンとこない。そこで、『いま、環境問題でエコバンクなどがあるから、いっそ〈愛人バンク〉にしたらどうか』と提案したんです。それを受け入れてくれて、年明けから、一斉に〈愛人バンク 夕ぐれ族〉の名称でメディアに登場するようになりました。しかし、おおやけの宣伝広告は一切しない。主宰者の筒見待子女史が〈愛人バンク 夕ぐれ族〉と電話番号が染め抜かれたトレーナーを着て、テレビや雑誌に“取材対象”として登場するんです。『笑っていいとも!』にも出ましたよ。それを見て、興味とカネがある男性が、電話をかけるというわけです。実に頭のよい戦略でした」

 伊藤さんは、この新風俗〈夕ぐれ族〉の登録女性たちを多く取材した。

「ところが、その年の夏、〈夕ぐれ族〉事務所から会員名簿が盗まれ、恐喝事件が発生します。その捜査の結果、筒見女史ら主宰者たちは売春防止法違反容疑で逮捕、有罪。あっという間にブームは消え去ります」

 実は、このとき盗まれた男性会員名簿に、ある政党幹部の名前があった。さっそく情報を得た週刊新潮が取材に行くが、相手は知らぬ存ぜぬ。記事になると名誉棄損で訴えてきた……なんて騒ぎもあったのだが、それについては、また別の機会に。

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