【ビートルズ来日60周年秘話】メンバーが「トーキョーは車が少ないね」と呟いたウラに「首都高封鎖」の警備態勢…機動隊員が警棒ではなく「白手袋」を身に着けた深い理由
想定外の事態
また、想定外の事態も起こっていた。動員された女性警察官たちが、慌てふためいている。現場に設置された救護所に運び込まれた女性ファンに何か起こったらしい。警備責任者である山田警備課長が何事かと様子を見ようとすると、女性警察官に「警備課長といえども、ここから先は案内できません」と言われた。
「興奮のあまり、失禁してしまった女性ファンがいたのです。群集心理の研究、対策には長けていた警視庁ですが、熱烈なファンの行動がどこまでいくかは未知数だったようですね」(前出・記者)
ビートルズが日本を去る7月3日は雨が降っていた。それでも宿舎の周辺、羽田空港へやって来る女性ファンが大勢いた。前述の映像でもホテルの周囲にパトカーと共に隊列を組んでメンバーの乗った車を見送る機動隊員の姿や、「空港地区 検問とファンの説得」と出した映像では、空港近くで機動隊員に説諭される女性ファンが映っている。
過剰すぎる警備とみるか。けが人や他国で起こったファンによる暴動もトラブルもなく、無事にコンサートを終えたとみるか――立場によって判断は分かれるだろう。
ビートルズのメンバーは日本を発った後、次の公演地であるフィリピンのマニラに向かったのだが、当時のイメルダ・マルコス大統領夫人が主催する歓迎会をキャンセルした。日本滞在時に歓迎会の案内は来ていたものの、スケジュールを理由に断っていたのだが、間に入ったプロモーターが大統領にキャンセルを伝えていなかったのだ。しかし、せっかくの招待を蹴ったと受け止められたことから、メンバーが空港で群衆に襲われるなど、危険な状態でフィリピンから出国する羽目に。後に、あるテレビ番組でメンバーが「マニラに比べ、東京の警備は万全でよかった」と述懐している。
【第1回は「『足の骨が折れてもいい! 客席から飛び降りてでもキスするの!』 ビートルズ来日60周年…熱狂的ファンを相手にした“前代未聞の警備”を貴重証言で振り返る】
[3/3ページ]

