「足の骨が折れてもいい! 客席から飛び降りてでもキスするの!」 ビートルズ来日60周年…熱狂的ファンを相手にした“前代未聞の警備”を貴重証言で振り返る
始まった警備実施計画
昭和36年6月8日、警視庁に「警備心理研究会」が発足した。その目的は「群衆心理を研究し、常に警備事象に即応した有効適切な対策を講じること」。学識経験者と警視庁警備部長が指名した職員で構成される。「血のメーデー事件」や「二重橋事件」で犠牲者を出した反省から、集団や群衆の心理や行動を分析・検討、雑踏警備に役立てるものだ。
山田氏は警備課の雑踏警備係に、ビートルズの基礎調査を命じる。完璧な警備実施のためには入念な準備が欠かせない。新聞、雑誌、テレビのニュース……ありとあらゆる情報を収集する。
「アメリカや西ドイツなど、ビートルズが公演を行った国では、ファンが暴動を起こし、けが人や逮捕者が出ている例が確認できました。また、当時上映していた『ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!』(現題は『ア・ハード・デイズ・ナイト』)を観に行った雑踏警備係長は、大変なショックを受けました」(前出・記者)
スクリーンめがけて走り、頬ずりして泣き叫ぶ興奮した少女たち……。田安門で山田氏に語った「足の骨を折ってもいいから~」というファンの言葉は決して誇張ではない。これはとんでもない警備対象を抱えることになった。
警備対象は来日する羽田空港、宿泊先の東京ヒルトンホテル、そして武道館……。連日のように「ビートルズ対策会議」を開いた警視庁の、威信をかけた警備計画が練られることになった。
【第2回は「【ビートルズ来日60周年秘話】メンバーが『トーキョーは車が少ないね』と呟いたウラに『首都高封鎖』の警備態勢…機動隊員が警棒ではなく『白手袋』を身に着けた深い理由」】



