犯罪収益622億円を“洗浄”したロシア人を逮捕…警察庁が取り組む“仮想通貨のマネロン”摘発というサイバー捜査の最前線
サイバー犯罪専門の「特捜部」
警察庁は、警察法の規定により捜査機関ではなく、あくまでも行政機関であり、直接、事件捜査を行うのは全国47都道府県警の専任事項だった。だが、ネット犯罪の蔓延を受けて2022年に警察法が改正。インターネットを介したコンピューター犯罪に限って警察庁が直接捜査することが可能となり、同年4月、同庁にサイバー警察局と、ネット犯罪に限定されてはいるものの「日本版FBI」と位置付けられた、国直轄の捜査部門として、サイバー特別捜査隊を創設した。
特捜隊はサイバー攻撃に対するユーロポールの国際共同捜査に積極的に参加して実績を積んできた。特捜隊の解析作業からもたらされた成果は、中国や北朝鮮などを国際的なサイバー攻撃の“黒幕国家”として名指しするEUと日本による「パブリック・アトリビューション(非難声明)」の根拠にもなっている。
警察庁では24年4月、この特捜隊を格上げしたサイバー特別捜査部を発足させ、体制を増強している。サイバー特捜部は情報分析などを担う企画分析課と特別捜査課の2課で構成。専従職員の数は特捜隊発足当初の73人から129人に拡充したほか、各都道府県の情報通信部で解析などを担う兼務職員を含む全体の体制を300人超とした。トップの特捜部長の階級も、特捜隊長時代の警視正から警視長に昇格させている。
ロックビットの摘発で警察庁は、国際共同捜査チームが押収したサーバーの解析を担当。独自に開発した暗号化データの復旧ツールを使って、国内企業10社の被害を回復させ、ロックビットの関与解明につなげたという。
警察庁はここ数年、国内外でマネロン対策の強化を推し進めており、昨年6月には犯罪収益移転防止法施行規則を改正。国内では銀行窓口などの対面取引とオンラインの非対面取引の双方で本人確認の厳格化が来年4月に施行される。警察庁幹部はこう語る。
「事件の舞台が、現実空間から仮想空間に移ってボーダレス化する犯罪に対し、捜査だけが、国境の制約を受けているのが現状。国境は無視できないが、国内の法整備と捜査の国際協力に並行して取り組んでいくことが急務だ」



