歴史ある「宮中晩餐会」で“配膳方法”が大きく変わった理由とは? 天皇皇后両陛下ならではの「令和流のおもてなし」に脚光

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関東風すき焼きと関西風すき焼き

 また88年には明治宮殿が完成。翌89年2月11日に行った大日本帝国憲法発布式の祝宴として、明治宮殿に設けられた旧豊明殿に各国の公使ら400名を招待して宮中晩餐会を開催。日本式の基本スタイルが確立された。

 江戸時代には、関西で農具の鋤を鉄板代わりにして魚を焼いて食べた「魚すき」が生まれた。これは「すき焼き」とも呼ばれたが、明治の牛肉解禁によって、鍋で肉を焼いてから砂糖と醤油で味付けをするよう変化した。一方で開港したばかりの横浜では肉を味付けしながら煮るスタイルが生まれ「牛鍋」として関東で大流行。これが関東大震災後に関西スタイルと混ざり合って現在の「関東風すき焼き」になり、「関西風」と区別されるようになる。

 天皇陛下が即位直後の2019(令和元)年5月27日にトランプ大統領夫妻を招き、宮中晩餐会が開催されたが、メインディッシュは「牛背肉焙焼(ステーキ)」だった。羊肉でなかったのは、トランプ氏の好物がステーキだったため。例外的に変更されただけだ。

 フレンチレストランでは現在、メインディッシュに牛肉が使われるケースが圧倒的に多いものの、フルコースでは羊肉、特に仔羊が最高級とされる。もともと西洋料理では、成長が早く繁殖力のある羊や豚が手軽に入手できるために、ポピュラーな食材だった。だが19世紀に入り、産業革命によって冷蔵技術が進歩。牛肉の生産効率が向上したことで、牛が主流となったのだ。

 トランプ氏の晩餐会では、料理が丸ごと盛り付けられた銀製大皿をウエイター(給仕人)が持って回り、来客が各自で取り分けるフレンチ古来のサービス方法(配膳方法)が採用されていた。これは明治期から続く、宮中晩餐会の伝統スタイルである。

 だが、前回のブラジル大統領の晩餐からは、街のフレンチレストランで一般にも馴染みのある調理場で料理を個人個人の皿に盛り付け、サービスする方式が取られている。今回のフィリピン大統領のケースも同様の個別配膳で、「これが令和流なのです」(宮内庁関係者)。

 令和スタイルが生まれた理由は、天皇皇后両陛下の「日本文化でもてなしたい」という意向に沿って和洋折衷でメニューを振る舞えるようになったため。令和流には両陛下のフランクな人柄が反映されているというわけだ。

朝霞保人(あさか・やすひと)
皇室ジャーナリスト。紙媒体やWEBでロイヤルファミリーの記事などを執筆する。

デイリー新潮編集部

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