マンション高騰とローン金利上昇の二重苦のウソ マンション・バブルは間もなく崩壊する
ローン金利上昇でマンションは入手困難になるのか
住宅ローンなどの借り入れ負担が増すのを心配する人が、いま急増している。直近のきっかけは、日本銀行が6月16日の金融政策決定会合で、政策金利を0.75%程度から1.0%程度まで引き上げたことである。みずほ総合研究所の試算では、住宅ローン残高が多い若年層の世帯では、金利引き上げによるマイナス効果が大きく、2人以上の世帯の場合、30代は年間2万1,000円、29歳以下は1万4,000円の負担増になるそうだ。
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近年、ただでさえ住宅価格は、都市部を中心に高騰しているから、心配になるのも無理はない。不動産経済研究所によると、今年5月の新築分譲マンションの平均価格は、東京23区で1億6,286万円となり、1年前よりも15.9%上昇した。首都圏全体でも1億円の大台を超えて1億660万円を記録し、こちらは13.5%の上昇だった。とくに23区内は、10年前の2016年には平均6,732万円だったから、約2.3倍に跳ね上がったことになる。
これから住宅を手に入れたい若い世代にとっては、マンションが高騰したうえにローン金利も上昇するのだから、お手上げだと思っても当然だろう。しかし、新築分譲マンションの価格がどうしてこれほど高騰したのか、その理由を考えると、金利が引き上げられたことを恨んでいる場合ではないと気づかされる。
最初に、なぜマンション価格が高騰したのか、確認しておきたい。その理由は、容積率などに対する2つの規制緩和を抜きにして考えることはできない。
もともと容積率は、第一種住居専用地域で最大200%、商業地域では400%が標準で最大1,000%と定められていた。それが、橋本龍太郎政権下の1997年に行われた建築基準法の改訂で緩和された。マンションなどの共同住宅では共用部分、すなわち廊下や階段、ホールなどは容積率に加えなくていいことになったのだ。これを機に、エントランスホールなどがやたらと広いマンションが増えた。
続いて、小泉純一郎政権下の2002年にも建築基準法が改訂され、容積率が大幅に緩和された。住居系地域で最大500%、商業地域では最大1,300%まで許されるようになった。加えて高層住居誘導地区では、隣地の日照を守るために課されていた斜線制限を適用しなくていいことになった。要するに、そういう地区では周辺の日照への配慮なしに、高層マンションを建てられるようになったのだ。
低金利のために高額のマンションばかりに
以後、駅に近いなど利便性が高いエリアを中心にタワーマンションが林立し、日本の景観は大きく変わっていった。この変化はマンション価格の上昇と比例していた。
ディベロッパーやゼネコンは、一定の土地から得られる収益を最大化したいので、たいてい定められた容積率いっぱいに建て、売れる床、または貸せる床を少しでも多くする。このため建物はより大きく、高層化し、当然ながら、建設費もより多くかかるようになった。それだけではない。巨大なマンションを建てるためには、従前の建物の解体や地権者への補償にも費用がかかり、それらが事業費に転嫁されることになった。
こうして、供給される新築マンションの価格はどんどん上昇したが、それにもかかわらず、高価格帯のマンションの販売は、ずっと好調に推移してきた。住宅ローン金利が低かったからである。長年、金利がきわめて低く抑えられてきたので、同じ返済額でも、かつてより高い物件を買える。買ってもらえるからディベロッパーは、建物の高さも値段もますます高くする。そんな循環が生まれた。
つまり、長引いた超低金利政策のために、高額なマンションばかりが供給されるようになった、ということだ。結局、低金利政策は、ディベロッパーや高額物件を購入したい富裕層は助けたが、手ごろな住宅を購入したい一般的な若年層にとっては、ほとんど助けにならなかったことになる。
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