マンション高騰とローン金利上昇の二重苦のウソ マンション・バブルは間もなく崩壊する
低金利が続いたせいで激増した非居住者
異常な低金利が続いたことで、マンションが高騰する別の理由も生じた。投資や転売を目的に、マンションを住宅としてではなく資産として購入する人が増えたのである。このため都心部を中心に、売れているのに非居住率が高いマンションが急増し、その割合は20階以上のタワマンでは、20%から多いところでは60%にも達するという。
そういう部屋は、一つには短期転売されることが多い。国土交通省は昨年11月、三大都市圏を中心に新築マンション約55万戸を対象として行った調査の結果を発表した。それによると、1年以内に転売されたマンションは、東京圏では6.3%で、東京23区にかぎれば9.3%に達した。大阪圏も5.6%で、なかでも兵庫県は7.1%、大阪府は6.2%と高い傾向にあった。
また同じ調査で、海外に住所がある人が取得した割合は、東京23区で3.5%、千代田、中央、港、新宿、文京、渋谷の都心6区にかぎると7.5%にもなった。大阪市も4.3%におよんだ。
いうまでもないが、こうした部屋は所有者はいても空室になっている。所有者は購入価格と売却価格の差額で利益を出すことをねらっているわけだが、実際、近年はそれによる収益率がかなり高くなっていた。
すでに述べたように、年を追ってマンション価格は高額になったが、低金利だったのでよく売れた。高くても売れるから、ゼロに近い金利を利用して不動産投資する人が内外ともに増えた。結果として、新築マンションの価格はさらに上向き、投資や投機の対象としてうってつけだと認識されるようになった。
低金利時代は銀行に預金していても金利がつかず、物価が上昇した分だけ資産は目減りする。だったら資産家も、高い利回りを期待してマンションを購入する。その結果、マンション価格はさらに上昇し、値上がりするから高利回りを期待し、投資や転売目的で購入する人が増え、そのためにまた価格が上がる、という悪い循環が生まれてしまった。
銀行も悪乗りした。企業の借り入れ需要が増えない分、マンションの開発業者や購入者への融資をどんどん増やしたのだ。
マンション・バブルがいずれ弾ける理由
もうおわかりだと思うが、これほどマンションが高騰し、買いにくくなったのは、低金利政策のせいなのである。
利上げによって住宅ローン金利が上昇すると憂うる前に、立ち止まってよく考えてほしい。金利が上がれば、これまで低金利ゆえにマンションに投資および投機していた人も減るので、マンション価格を逆に押し下げる圧力になる。そうなれば、住宅ローンの上昇分は相殺される。
それに、いまのマンション価格の高騰はバブルだと思っていないと、手痛いしっぺ返しを食らう。というのは、急激な少子化と人口減少が原因で、今後、マンションの需要が高まることは、常識的にはありえないからだ。
2025年に国内で生まれた日本人の出生数は67万1,236人にすぎなかった。国立社会保障・人口問題研究所が2023年に発表した将来推計人口では、出生数が67万人になるのは2040年だと見積もられていたので、国の想定より15年も速く少子化が進んでいることになる。同じ研究所は、外国人を含む総人口が2048年に1億人を切ると推計するが、かなり甘い見通しなのではないだろうか。
金利が上昇基調に転じ、マンションの需要が今後、増えようがないとなれば、いずれ現在のバブルは弾ける。住宅ローンの金利が上昇し、負担がどれだけ増える、と細かく計算する前に、無理して高額のローンを組んで購入したマンションが、暴落する可能性を頭に入れておいたほうがいい。
いま住宅に関していちばん心配なのは、これから人口減少に比例して、急激に空き家が増えることである。空き家を流通させて、ある意味、空き家を中心に住宅市場を形成していかないと、今後の日本はそこら中がスラム化してしまう。それを防ぐためには、行政が交通や教育、医療などのサービスが低下しないように注力しつつ(そのためには、膨大な予算が必要だから、日本には減税や無駄遣いをする余裕はない)、同時に、若い人たちが空き家、すなわち中古住宅に目を向けるように、市場を整備しつつ、誘導することが大切である。
そのための策として、提案したいことはたくさんあるが、それは別の機会に述べたい。まずは今回の利上げが、現在のマンション価格の高騰という異常な状況を冷静に眺め、高額のマンションだけが住宅ではない、と考えるきっかけになることを願う。
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