歯を磨いているのに口臭が… 原因は「口呼吸」の可能性 放置するとさまざまな疾患に

ドクター新潮 ライフ

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クリーンな空気

 だからといってこれほどの弊害を生む口呼吸を続けるわけにはいきません。本来の呼吸である鼻呼吸へと戻す必要があります。

 鼻呼吸では舌が上あごにぴったりと付きます。舌は血流が豊富で熱を持っていますから、鼻腔が温められて加温になる。鼻腔は湿っているので加湿にもなる。つまり、喉の奥のリンパ組織を冷やしたり乾燥させたりすることがありません。そして鼻腔にある鼻毛や、線毛という粘膜の微細な毛で空気を濾過(ろか)するのでクリーンな空気を肺に送り込むことができます。

 そして特に重要なのが、副鼻腔で作られている豊富な一酸化窒素の供給です。一酸化窒素は血管を拡張する作用があるので、気管支の血管も拡張され、肺の酸素取り込み効率を高めます。さらに、雑菌やウイルスを殺す作用もあるので、新型コロナウイルスをはじめとする、風邪ウイルス対策にも有用です。

 また、鼻腔の表面積は新聞紙1枚程度といわれています。粘膜が折り畳まれたような構造のため、空気が通りにくくなっています。これを気道抵抗と言いますが、鼻呼吸では気道抵抗があるため横隔膜が動くのです。横隔膜が動くことで肺がしっかり膨らみ、鼻呼吸時の酸素の取り込み量は口呼吸の1.5倍以上になることが分かっています。また横隔膜が動くことで内臓が動き、血流も良くなるのです。

「あいうべ体操」のやり方

 では、どうやって口呼吸を鼻呼吸へ変えるか。最初は「パ・タ・カ・ラ」と発音する「パタカラ体操」や、タコ糸を通したボタンを唇と歯の間に挟んで引っ張る「ボタンプルトレーニング」を患者さんに指導していました。どちらも口周辺や舌の筋肉を鍛えるものです。しかし、パタカラ体操は発音しなければならないし、ボタンプルトレーニングは道具が必要で、継続率が低かったのです。そこで、もっと簡単にできないかと試行錯誤の結果、2004年頃ごろに考案したのが「あいうべ体操」です。やり方は簡単です。

(1)「あー」と口を大きく開く。

(2)「いー」と口を大きく横に広げる。

(3)「うー」と口を前に突き出す。

(4)「ベー」と舌を突き出して下に伸ばす。

 ポイントは、大げさなぐらい口を大きく動かすこと、(1)~(4)を4秒前後かけてゆっくり行うことです。この「あいうべ体操」を1日30回を目安に行うよう指導しています。10回ずつ3回に分けてもいいし、30回を一気に行っても構いません。

「あ」「い」「う」「べ」と口と舌を動かすことで顔や口の周りの筋肉が鍛えられます。鍛えられる筋肉と効果は以下の通りです。

「あ」顎二腹筋、舌骨下筋群、口輪筋(縦伸展)/顎関節の可動域を確保し、口腔・咽頭周囲の筋肉をストレッチ。

「い」口輪筋(横伸展)、笑筋、大頬骨(だいきょうこつ)筋、広頸筋/口唇閉鎖力を高めるとともに、顔面のたるみを解消し、口元を引き締める。

「う」口輪筋(収縮・突出)/唇を閉じる力を集中的に強化し、安静時の口唇閉鎖不全(お口ぽかん)を改善する。

「べ」オトガイ舌筋、茎突舌筋、舌内筋/舌を強力に突き出すことで舌根を鍛え、舌が咽頭へ沈下するのを防ぎ、正しい舌位へ導く。

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