歯を磨いているのに口臭が… 原因は「口呼吸」の可能性 放置するとさまざまな疾患に

ドクター新潮 ライフ

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全身の免疫を刺激

 乾燥すると歯周病菌が繁殖しやすくなると言及しましたが、口の中には300~700種類の細菌がいるとされています。歯周病菌はその中で唯一、歯肉のタンパク質を変化させる酵素を持っています。この酵素によってタンパク質が変質することを「シトルリン化」と言います。シトルリン化は関節でも起きます。変質したタンパク質を免疫は異物と誤認し、自己抗体を生み出して、自分の体を攻撃してしまう。これが関節リウマチの原因の一つなのです。

 自己抗体が悪さをするという意味ではアトピー性皮膚炎も同様です。口呼吸によって細菌が繁殖し、慢性的な軽い炎症が持続すると、全身の免疫を刺激し続け、自己免疫疾患やアレルギーを誘発するのです。

 その他、口呼吸は鼻呼吸に比べて呼吸が速くて浅くなるため、酸素や血液の供給量不足からくる代謝の悪化、運動能力や集中力の低下を招きます。また、口呼吸によって舌の位置が下がると気道を確保しようと頭が前に出るため、猫背になりやすいとされています。

 口呼吸は歯並びにも影響します。最近は歯並びの悪いお子さんが多く、軟食傾向が一因だとされています。あごが発達せず小さくなるためですが、実は、舌の位置も関係するのです。舌の正しい位置は上あごに密着している状態です。舌が歯列を内側から押し広げるため、歯並びは正常なU字型になります。しかし、軟食は舌の筋力を低下させます。舌はスマホ1台分に相当する約150グラムもある大きな組織です。ここの筋肉が弱ると舌が落ち込み、自然と口が開いて口呼吸になります。つまり、軟食が口呼吸、そして歯並びの悪化を招く一因となっているのです。

なぜ現代人は口呼吸?

 歯並びが悪くなるとうまくかめず、あごの筋力が低下します。すると、あごは横へ広がらず、面長になりがちです。面長は二つの問題につながりやすいとされます。一つは、眼軸長(角膜から網膜までの眼球の奥行き)が伸びることによる近視。もう一つは、狭くなった鼻腔による副鼻腔炎や鼻づまりです。鼻づまりは脳への酸素供給を妨げるため、注意欠陥・多動の一因にもなります。さらに歯の左右のバランスが悪いと、片側かみになりやすく、顔に左右差が出る人もいます。

 では、なぜこれほど多くの現代人が口呼吸になってしまうのか。前述した軟食傾向とそれに起因する舌の筋力の低下や、あごの未発達もあると思いますが、私は習慣要因だと思っています。口呼吸は主呼吸筋である横隔膜は大きく動かず、込み入った鼻道も経由しないため楽なんです。子供が風邪を引き、鼻づまりから、そのまま口呼吸になる場合もありますし、乳幼児の時の吸啜(きゅうてつ)運動やハイハイが少なく全身の筋肉を使わないために口呼吸になる場合もあります。しかし、結局のところ「楽だから」ということに尽きると思います。

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