【泣ける映画5選】役所広司、山崎努、寺尾聰、浅野忠信、福山雅治…「父親」が抱く愛と悲しみ、家族の尊さ
新しい命の誕生を見つめる
〇「幼な子われらに生まれ」(2017年)
血のつながらない娘との関係に悩み、新しく誕生する生命への不安に揺れる父親を浅野忠信が演じる。
離婚経験のある信(浅野忠信)は、2人の連れ子がいる奈苗(田中麗奈)と再婚していた。子供たちとの関係も良好だったが、奈苗が妊娠したことをきっかけに長女・薫(南沙羅)から嫌われるようになり、本当の父親に会いたいと要求される。
信は良い家庭を作ろうとあらゆる努力をしているが、家族との感情の行き違いに悩む。そして、会社からは倉庫勤務へと配置転換を言い渡されてしまう。このあたり信の精神がいつ破綻するのだろうかと、息苦しい場面が続く。そして薫の希望を聞き、実の父親に会う手配をするのだが……。
長女の薫を演じた南沙羅のデビュー作だ。当時ファッション誌「nicola」の専属モデルだったが、オーディションで三島有紀子監督に抜擢されたという。翌年には「志乃ちゃんは自分の名前がいえない」(2018年)で主役を務め、多くの賞を獲得した。
浅野は南について「義理の父である信への嫌悪感が強まって『お父さん、いやだ』という感情をストレートにぶつけてきたから、とても自然なやり取りができた」と話している(「キネマ旬報」2917年9月上旬号)。
だからだろうか、ラスト10分間の浅野と南の“本当の家族になる”場面はとても印象的だ。ここまでの葛藤は、このために用意されたと言っても良い。そして新しい命の誕生を見る時、喜びとほろ苦さが交じった涙を流すことになるだろう。
育ての親と産みの親
〇「そして父になる」(2013年)
昭和30年代に病院で他の乳児と取り違えられた男性が、20年以上本当の親を探しているというニュースが最近話題になった。本作は同じく乳児の取り違えを扱っているが、お互いの両親は分かっている。それでは、これからどうするのか。
エリート会社員の良多(福山雅治)は、妻・みどり(尾野真千子)と6歳になる慶多と高級マンションに住んでいる。ある日、慶多を産んだ病院から他の子と取り違えられたという連絡があり、愛情を注いできた息子が他人の子だったと知り愕然とする。相手の家族は電気店を営む雄大(リリー・フランキー)とゆかり(真木よう子)で、良多たちの本当の息子は琉晴という。彼は大人しく素直な慶多と違い、元気溢れる少年だった。
2組の夫婦は、子供を相手の家に泊まらせたり様々な試みをするが、良多は2人とも育てたいと申し入れ、雄大とゆかりを激怒させてしまう。福山はこれまでのスタイリッシュなイメージと違い、他人の気持ちを忖度しない鼻持ちならないエリートという珍しい役どころだ。
終盤、雄大の家に慶多を迎えに行くと、良多を見た慶多が逃げ出してしまう場面がある。大人の考えだけで両親と離れて暮らす悲しみが慶多から感じられ、とても切なく感じる。
“血は水より濃し”という言葉もあるが、それを決めるのは子どもではないだろうか。父を振り切って走る慶多の姿を見てそう思う。答えの出ない問題に踏み込み、家族とは何かを突きつける作品だ。
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