妻と結婚して30年。恋人とは交際24年。63歳夫が語る「ふたりがいないとバランスがとれない」

  • ブックマーク

僕にまつわること、すべて紗和の意見が聞きたかった

「つきあいが長くなりそうだなと思ったのは2年くらいたったときですね。うちは子どもがいるから、やはり時間的な制約がある。もっと一緒にいたくても、もっと会いたくても時間がとれないとき、僕はつい『本当はもっと一緒にいたいんだよ』と率直に言っていたんです。でも彼女は『わかってるから遠慮しないで言って』って。そしてあるとき、小学校に入学したばかりの長女が、学校でちょっとケガをしてしまったんです。僕は彼女に素直にその話をして、『学校側はこう言ってるんだけど、どう思う?』と紗和の意見を聞こうとした。紗和は『あなたは、その話を妻にするべきじゃないの?』と言ったんです。そうだけど、紗和の意見も聞きたいんだと言うと、『私が言ったら、ただの出しゃばりになっちゃう』って。いいヤツだなあと思いました。でも僕は、僕にまつわること、家族も含めてですが、ほぼすべて紗和の意見が聞きたかった」

 妻をないがしろにしているわけではない。妻の意見は聞いている。だが、最終的に妻はいつも彼に同調するのが常だった。彼はひとりの自立した人間として、紗和さんの本音を聞きたかったのだ。

「妻とは同じ船に乗っている。でも紗和とは別の船に乗りながら、同じ島を目指している。たとえるならそんな感じなんですよね。どちらをより信頼しているという話じゃなくて」

 そういう生活を続けながら、潤之介さんは紗和さんとの関係を深めていった。

 ***

 妻との家庭を守りながら、紗和さんとの関係も深めていった潤之介さん。記事後編では、24年に及んだ関係が、病と老いを前にどのような形をとっていったのかを紹介している。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。