「習近平」が「金正恩」に“完敗” 7年ぶり訪朝でも「朝鮮半島非核化」に言及ゼロ…ロシアと蜜月「北朝鮮」を制御できず、影響力は低下へ

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 中国の習近平国家主席は8~9日に北朝鮮を訪問し、金正恩朝鮮労働党総書記との首脳会談を行った。この席で北朝鮮の「非核化」についての言及がなかったことが波紋を呼んでいる。核保有国の地位を固めたい金総書記にとっては、「完勝」とも言えるような内容なのだ。なぜ習主席は、金氏に配慮しなければならない立場に追い込まれたのか。その背景を探った。

【相馬勝/ジャーナリスト】

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頭から冷や水

 北朝鮮の外交戦は習氏の訪朝前に始まっていた。

 訪朝前日の7日付朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、金氏の妹で朝鮮労働党総務部長の金与正氏の談話を掲載。このなかで与正氏は、トランプ米大統領への名指しは避けながらも、北朝鮮の核保有について、「米国の一部当局者は、現実逃避的で時代錯誤の夢から抜け出せずにいる」としたうえで、「われわれの核保有国としての地位は、誰かが認めようと認めまいと厳然たる現実だ」と強調し、翌日からの習氏訪朝を前に、改めて北朝鮮は「核保有国」だと主張した。

 また、同紙によると、金氏も訪朝2日前の6日、軍需工場を視察し、「国防5か年計画」の期間中にミサイルの生産能力を2.5倍に拡大する目標を示している。

 ホワイトハウスが発表した、5月の米中首脳会談の合意内容に関する「ファクトシート」によると、トランプ大統領と習氏は「朝鮮半島の非核化を達成するという共通の目標を確認した」としている。

 訪朝直前に、最高指導部の兄妹そろって、わざわざ米中合意に反するような好戦的な姿勢を示したことにより、習氏は頭から冷や水を浴びせられた格好となった。

「非核化」言及なし

 そして2日間にわたった会談で、北朝鮮の非核化について言及がなかったことは既に大きく報じられている。

 習氏は2018~19年の計5回にわたる金氏との首脳会談すべてで北朝鮮の非核化に言及してきたが、今回の首脳会談についての中朝両国の公式報道では、一切その事実が出てこないのだ。

ロシアとの関係

 こうした変化の裏には、どんな事情があったのか?

 米政府系報道機関「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」は、中朝関係について、ワシントンのシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」の北朝鮮担当上級顧問シドニー・セイラー氏のインタビューを掲載した。セイラー氏は2014年から2015年にかけて朝鮮半島核問題に関する六者協議の米国特使を務めるなど、米国の対北外交・政策を調整し、北朝鮮との交渉を担当した米国有数の北朝鮮専門家だ。

 同氏は「中国は、北朝鮮とロシアとの関係改善が将来どうなるのか。さらに、北朝鮮とロシアの関係改善が中国と北朝鮮の関係にどのような影響を与えるかについて、懸念している可能性があるのは確かだ」と指摘している。金氏はロシアとの接近著しく、新たな後ろ盾を得たに等しい。その金総書記に北朝鮮の非核化を主張すれば、反発を招き、よりロシアへの傾斜し、中朝関係が悪化することを懸念しているとの見立てだ。

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