「習近平」が「金正恩」に“完敗” 7年ぶり訪朝でも「朝鮮半島非核化」に言及ゼロ…ロシアと蜜月「北朝鮮」を制御できず、影響力は低下へ
日本海へのアクセスが可能
5月の中露首脳会談では、この自動車道路橋に加えて、中朝露3国の国境が重なる図們江流域を3カ国が共同開発する計画が話し合われた。地図を見るとわかるように、中国から図們江を下ると、日本海まで15キロの地点で、江の北側にロシア領、南側に北朝鮮領が広がる。このため中国からは日本海に出ることができないのだが、図們江流域を3カ国が開発することになれば、そのルートを確保することが可能になる。
中国にとっては、艦船による日本海側への直接的なアクセスが可能になり、経済面ばかりでなく、安全保障上も日本を軍事的に牽制することができる。事実上の日本海での中朝露3国による安全保障上の『軍事同盟』も現実味を帯びるだけに、日本は極めて大きな軍事的な脅威にさらされることになる。
ところがその一方で、中国が日本海まで進出することで、北朝鮮も中国の軍事的な脅威に直面する可能性が出てくるため、金氏にとってこの開発は鬼門であるとも言える。それを知る習氏が北朝鮮に配慮し、会談ではこの件についてあえて議題にしなかったとも考えられる。北朝鮮を刺激することを避けたというわけだ。
上下関係は崩れた
このように、今回の首脳会談で、習氏は、核開発と図們江共同開発の2点で、金氏に譲歩した。
北朝鮮は核・ミサイル能力の向上など軍事力が拡大したのに加え、ロシアと急接近している。中国を介さずともロシアと直接強力なパイプを持つようになったため、中国は「北朝鮮がロシアに傾き、東アジアにおける自国の主導力が低下するのではないか」という強い危機感を抱くようになった。
中国は、米国と対立する北朝鮮をコントロール下に置くことで米国をけん制することを目論んでいる。すなわち、中国にとって北朝鮮の存在は大きくなっており、かつてのような「後背地(中国)と属国(北朝鮮)」という単純な上下関係は崩れ、北朝鮮に配慮せざるを得なくなった――と考えられる。
他方、北朝鮮は核開発を急速に進展させ、自らを事実上の核保有国として位置づけた。これにより、単なる中国の庇護下にある存在から、地域の安全保障を左右する主体へと変化した。核・ミサイルという強力なカードを手にしたことで、北朝鮮は中国の意向を必ずしも聞かなくても自存できる自信を深めている。
現在の両国関係は、経済力では中国が圧倒的に優位であるものの、政治・軍事的な駆け引きにおいては北朝鮮が中国の置かれた状況を逆手にとる構図となっている。そのため、中国は北朝鮮を完全にコントロールするのではなく、関係を管理し、配慮、歩み寄りを示さざるを得ない状況に陥っている。
今回の中朝会談では、その傾向がはっきりと表れたわけである。
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