「借金12億円」に「パンツ事件」…「中村玉緒さん」死去 自ら語っていた夫「勝新太郎」秘話

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「もうパンツははかない」

《主人の演出はちょっと時代が早かったんですね。「座頭市」は皆さんに好かれましたけど、「燃えつきた地図」(1968年)とか「警視-K」(1980年・日本テレビ)とかは、ちょっとずつ早かった》

「燃えつきた地図」は原作と脚本が安部公房、監督は勅使河原宏が務めるという妥協を許さぬ作品だった。そして「警視-K」は、警視庁の警視でありながら定住所を持たず、キャンピングカーで放浪生活を送っているという奇妙な設定だった。だが、現在放送中の「ボーダレス〜広域移動捜査隊」(テレビ朝日)の原型といえるかも……となると、ちょっとどころではなく時代が早すぎた。

《子役が泣けないと、その子が自然に泣けるまで、本当の涙を出すまでフィルム1本回すんですよ。ですから、儲かるわけがない。だから苦労が多かったと思われるでしょうが、本当に、とってもかわいい人だったんですよ》

 さらに、1990年、勝はハワイのホノルル空港で下着にマリファナとコカインを入れていたとして現行犯逮捕される。逮捕後の会見では「もうパンツははかない」などと発言したことが話題となったが、誰から薬物を入手したかについては口を割らなかった。480日ぶりに帰国したものの日本でも逮捕され、執行猶予付きの有罪判決を受けた。裁判では傍聴者を観客と呼び、出廷前に「入りはどうだ?」と尋ねたとも……。

《逮捕は、あれは信じられないことでした。私の前では、麻薬も何もなかったから。でも、アメリカから帰ってきてくれて嬉しかった。また俳優になれる、だから過ぎたことを聞いてもと思って、真相についての会話は夫婦でしなかったんですね。前向きだったんです》

 だが、この時すでに勝の身体を下咽頭癌が蝕んでいた。

最初で最後の舞台共演

《復帰作は、私は主人が映画を選ぶと思っていました。それが、ガンの前触れだったのか、それとも虫が知らせたのか、「夫婦善哉」を選びました》

 これが最初で最後の舞台での夫婦共演となった。

《でも、途中で喉が痛くなって2カ月舞台をやってからお医者さんで調べました。私が呼ばれてガンだと告げられましたが、お医者さんは「今の話は聞かなかったことに」と。主人は「玉緒には言うな」と言ったって。その時はもう手遅れだったんです》

 診断から10カ月後の1997年6月21日、勝新太郎、死去。

《「パパ、本当はこうでしょう」「昔、女の人とこんなことがあったんでしょう」とか、いろんなことを聞く前に死んじゃった。死が早すぎました。もっと働いてもらい、主人が監督した映画をもっともっと見せてほしかった。死ぬなんて思ってもいませんでしたから》

 そして最後にこう呟いた。

《私が本当に言いたいのはたった一言。「勝新太郎の妻でよかった」ということだけなんです》

 もしかすると今頃、玉緒さんはこれまで聞けなかったことを勝に問い質しているかもしれない。

デイリー新潮編集部

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