【旭川女子高生殺害】なぜ検察は「死刑」でも「無期懲役」でもなく「懲役27年」を求刑したのか? 被害者の尊厳を踏みにじる犯行も検察が極刑を避けた“最大の理由”
“石橋を叩いた”検察
田中弁護士が注目するのは、検察の冒頭陳述だ。5月25日に開かれた初公判で検察は「たとえ突き落とした行為がなくとも、被告らの言動のせいで実質的に転落させたと評価できるのであれば殺人罪の実行行為は認められる」と主張した。
「『ピストルで被害者を撃ち殺した』行為と、『被害者がピストルで自殺しなければならない状況に追い込む』行為は、どちらが罪は重いのかという問題でしょう。もちろん『自殺に追い込むほうが恐ろしく、罪深い』と考える人はたくさんいると思います。ただし刑法や実際の刑事裁判では一般的に『ピストルの引き金を引き、被害者を撃ち殺した』ほうが罪は重いと考えます。今回の事件で検察側は冒頭陳述で『被害者を突き落としたのは内田被告です』と明確に主張できませんでした。となると求刑も有期刑にならざるを得ないと判断したのではないでしょうか。検察側は“石橋を叩いて渡る”方針を選択したと言えるかもしれません」
田中弁護士は検察側に「できることなら控訴審は避けたい」という“本音”も透けて見えるという。
「娘の望む判決を下してください」
「無期懲役を求刑し、減刑されて有期刑の判決が下った場合、検察は基本的に控訴する方針を定めています。『誰が女子高生を殺したのか分からない』という検察が強い確証を持てない事件で高裁、最高裁を争えば、ひょっとすると内田被告に有利な逆転判決が下らないとも限らない。一方、懲役27年を求刑した場合、たとえ判決で小西受刑者と同じ懲役23年に減刑されても、検察は自動的に控訴する必要はありません。それこそ、もし本当に懲役23年の判決が下れば、内田被告が受け入れる可能性は上昇すると考えられます。しかし法律上、裁判所は検察官の求刑に拘束されません。実行者は内田被告あるいは内田被告が本件の中心的役割を果たしたという心証を形成したならば、検察の求刑を上回る判決をする可能性もあります」(同・田中弁護士)
検察が求刑があった6月8日の公判で、女子高生の父親が意見陳述を行った。父親は「裁判官、裁判員の皆さま」と呼びかけ、内田被告に人差し指を向けながら、「どうか、どうか、あいつを、あいつを、私の娘の望む判決を下してください。お願いします」と懇願した。
父親の訴えにハンカチで涙を拭う裁判員もいたという。果たして天国で被害者の女子高生は、検察の求刑に納得したのだろうか?
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