「救急車が来ても、病院が決まらない」 東京の住宅選びで見落とされる“医療圏”
人口集積地と病院配置の「ズレ」
救急要請はどこで増えているのか。東京消防庁の統計を見ると、その特徴はかなり明確である。2024年、東京23区で最も救急出場件数が多かったのは世田谷区だった。足立区、大田区、江戸川区、練馬区など、人口規模の大きい住宅地も上位に並ぶ。
ここで重要なのは、「どの区が危険か」という話ではない。注目すべきは、人口集積が大きい医療圏ほど、救急需要の総量も大きくなりやすいという点である。実際に何件の119番通報が入り、何台の救急車が走り、どれだけの搬送調整が発生しているか。その総量は、救急医療全体の負荷に影響する。
世田谷区は約95万人の人口を抱え、単独で地方都市並みの人口規模である。しかも、救急搬送は区内だけで完結せず、渋谷区や目黒区を含む同じ医療圏の中で調整される。その一方で、二次救急病院は都心寄りに集まっている。
これからの住宅選びで問われること
おさらいすると、東京の救急搬送は、行政区ではなく医療圏という広域単位で運用されている。人口が集中する住宅地と、大学病院や大規模病院が集積するエリアは、必ずしも一致していない。そして、高齢化によって救急需要そのものは増加傾向にある。
これまで住宅地選びであまり意識されてこなかった「救急時にどの医療圏へ搬送される構造なのか」という視点。東京都は、二次救急病院の一覧や医療圏の区割りを公開している。住まいを選ぶ際に、自分の候補エリアがどの医療圏に属するのかを確認することは、いまでもできる。
駅から何分かだけではなく、「救急時にどこへ運ばれる可能性があるのか」。そんな視点も、これからの住宅地選びでは意味を持ち始めると考える。
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