王者セブンを作った男 “ツナマヨおにぎり”だけじゃない…鈴木敏文氏が築いた「コンビニのかたち」

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「ツナマヨおにぎり」——“邪道”が国民食になるまで

 1983年、セブンはおにぎりの「シーチキンマヨネーズ」を発売した。現在では「ツナマヨおにぎり」として、定番のおにぎりの具になっているが、セブンの資料によると、取引先企業の小学生のお子さんが食べていたマヨご飯から開発者が着想を得たという(現在はローソンとファミリーマートははごろもフーズのものを使用しているので「シーチキンマヨネーズ」で、セブンは「ツナマヨネーズ」と、少しややこしいのだが……)。

 だがよくよく考えると、ご飯にマヨネーズとはなかなか異色の組み合わせである。今でこそ多様でユニークな商品が受け入れられコンビニの棚に並ぶが、コンビニで商品開発に携わっていた身からすると、ひと昔前はツナマヨのような一風変わった商品を提案することのハードルは決して低くなかった。

 ましてや、コンビニのトップを走るセブンである。“邪道”ともいえるツナマヨおにぎりの発売に至った背景には、当時、社長として企画にゴーサインを出す立場にあった鈴木氏の先見性と「舌」、そして「売れるかどうかはお客様が決める」という思想があったゆえ、と筆者は考えている。コンビニの商品開発において、トップの試食や味覚がいかに重要かは、別記事「コンビニのトップに求められるのは『舌』だ 高給の経営者に庶民の味がわかるのか…セブンを築いた鈴木敏文氏の味覚」で触れたとおりだ。

 “ツナマヨおにぎり”がいざ発売されると爆発的人気を博したのはご存じのとおりで、10年ほど前にコンビニコーヒーが発売されるまでは、売り上げ数量的にコンビニトップの商品だった。今でも、トップクラスの定番商品であることは間違いない。開発者もすごいが、同時に鈴木氏の判断力がなければ、今日のツナマヨおにぎりは無かっただろう。

さかのぼれば1978年にコンビニおにぎりを売り出したのも鈴木氏だった。

「今では当たり前にどこのコンビニでも売っているおにぎりも、実は周囲の反対を押し切って開発した商品だ(中略)『売れるはずがない』と多くの人から言われたし、反対を押し切って発売してみても、実際に最初の頃は、1日に1店舗当たり2~3個しか売れなかった」

 と、反対に遭ったことを振り返っている(ダイヤモンドオンライン2016年9月20日インタビューより)。

 業界全体のコンビニおにぎり年間販売数は約60億個規模。日本人1人あたり年間約48個、月4個のペースで食べている計算になる。

15年で「生活インフラ」へ——ATMと公共料金が鍵だった

 1987年の公共料金収納開始、2001年のセブン銀行(当初はアイワイバンク銀行)開業およびATMサービスの展開。この2つが「物を売る店」から「生活インフラ」へのコンビニの決定的な転換点だった。

 銀行は15時に閉まり、土日は使いにくい。そんな時代に、セブンは24時間利用できる支払いの場を用意した。いつでも電気・ガス・水道料金が払えて、現金も引き出せる。コンビニが「毎月必ず行く場所」になっている人も少なくない。今ではコンビニは宅配便、チケット、住民票、メルカリ発送、災害時拠点まで担う「ミニ市役所+ミニ銀行+物流拠点」だ。

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