【栃木強盗殺人】なぜ“16歳の高校生”は実行役に選ばれたのか…「雇うならバカがいい」「ビッグになりたい少年は格好のカモ」闇バイトのリクルーターが明かす“選考条件”

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殺し文句は「少年法で罪が軽くなる」

 トクリュウに関する取材を積み重ねた藤原氏は、「今後、闇バイトのリクルーターは未成年者をターゲットにする」と分析し、『闇バイトの歴史』でも警鐘を鳴らした。まさに、それが現実のものになってしまったと言える。

 藤原氏は「トクリュウが未成年者を狙うのは、成人よりも騙しやすく、勧誘が容易だからです」と言う。確かに高校生は大人と比較すると、一般的に社会経験や法律の知識に乏しいだろう。

「成人だと配偶者や子供がいる場合もあります。犯罪に加担させる際、家族の存在が“手かせ足かせ”になることもあるのです。神奈川県で働く男性に『明日、栃木へ行け』と命令しても、仕事や家族の関係から『無理です』ということが起こり得ます。一方、高校生なら学校さえサボれば、平日でも休日でも自由に行動できます。そして何よりも大きな影響を与えているのが少年法です。リクルーターは未成年者と接点を持つと最初から『少年法で守られているから罪が軽くなる』と説明するのです。成人には使えない“殺し文句”であり、まさに法律の知識に乏しい高校生たちが『それなら大丈夫だろう』と判断してしまうわけです」

10人のうち9人は脱落

 もともと闇バイトのリクルーティングはSNSなどで不特定多数に呼びかける方法と、知人や友人関係を利用して“口コミ”で誘う方法の2つがあったという。

「最近は警察が闇バイトの捜査に力を入れています。そのため“リクルーター”は目立つSNSの利用を控えるようになっています。実際、今回の強盗殺人事件で逮捕された16歳の4人のうち少なくとも2人は同じ高校に通う同級生だったなど、全く見ず知らずの男たちをかき集めて強盗をさせるという完全な“SNS型”とは異なる印象です。SNSで闇バイトのリクルーティングを行いながら、それに応募した高校生の交友関係を利用したのではないでしょうか」(同・藤原氏)

 だが、いくら社会的経験や法律的な知識に乏しい高校生だといっても、民家に押し入って住民を殺し、金銭を物色することに良心の呵責を感じないのだろうか。

 凶悪犯罪に加担すれば、人生が破滅するリスクがある。16歳の少年なら死刑は免れるかもしれないが、無期拘禁刑の判決が下る可能性はあるのだ。

「闇バイトに応募し、実際に犯罪行為に手を染めるうち、良心の呵責を感じる高校生は決して少なくありません。トクリュウ側は最初、特殊詐欺の『受け子』や『出し子』など比較的簡単な仕事を担当させ、応募者の反応を見ます。そして徐々に犯罪のハードルを上げていくわけですが、その過程で脱落者が出ます。例えば10人の高校生が闇バイトに加担したとして、最後に残るのは1人というイメージです。そして、その残った1人は良心の呵責を感じず、命令されたことは何でもやります。『刃物とバールで家にいる女性を殴り、金のありかを吐かせろ』と指示されても唯々諾々と従うのです」

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