「ゾンビたばこ」使用に“爆弾証言” 「羽月隆太郎」と「広島カープ」が失ったもの 「新井監督」が信頼した“有望選手”はなぜ転落したのか
人一倍野球に真面目
かつての羽月を知っているファンや関係者なら、彼がこんなふうに内幕を暴露する不満分子になるとは思わなかったはずだ。それほど、赤いユニフォームを着ていた頃の羽月は、明るく、人懐こく、人気者で、野球に人一倍真面目に取り組んでいる選手だった。
一番のセールスポイントは、2023年から昨年まで、代走のスペシャリストとして3年連続2桁の盗塁を記録した俊足。果敢なスタートの技術をどのように編み出したのか。羽月はよくこう強調していた。
「準備です。僕は常にしっかりと準備をしています。誰にも負けない最高の準備をしていますから」
プロ野球選手として最も小柄な部類に属する168cm、70kg。神村学園から広島入りした2018年ドラフト会議で指名を受けたのは最終順位の7位だった。同期のドラ1は同い年で報徳学園高校から4球団競合の末に広島入りした小園海斗。
険しい前途が予想される中、女手一つで兄と羽月を育て上げた母親は、事あるごとに電話で助言を繰り返していたという。「いつも丁寧なプレーを心がけろ」「試合中にガムをかむんじゃない」と。
ミーティングの前に芸を披露
自分の最大の武器、俊足で盗塁数を稼ぐには、ただ闇雲に走るだけでは覚束ない。相手バッテリーのクセと傾向を入念に研究し、果敢に隙を突く周到さが必要だ。それが羽月の言う「準備」だった。
デビューは早かった。2年目の2020年、打率3割を超える二軍戦の好成績を買われ、8月7日に一軍初昇格すると、その日の阪神戦でいきなり「2番・セカンド」で初スタメン初出場。ちょうど夏休み中、しかも本拠地マツダスタジアムの試合だったことも、抜てきした当時の佐々岡真司監督や広島球団の期待の大きさを物語る。
羽月はこの試合でセーフティスクイズを成功させ、初安打初打点をマーク。2点タイムリー3塁打を打って初長打も記録し、計3打点をあげた。さらには試合後、先輩の松山竜平と並んでヒーローインタビューのお立ち台に上がり、緊張のあまりつっかえながらも、スタンドから温かい拍手を浴びた。
野球以外のセールスポイントはお笑い芸人や女性タレントのモノマネに野球選手の形態模写。一軍初昇格の日も野手ミーティングの前に得意な芸を披露し、先輩たちの笑いを誘ったという。まだ20歳の若者だったから、早くチームに溶け込もうと必死だったに違いない。
[2/4ページ]

