「山口百恵さんのお尻を触った理由は…」 黒柳徹子が明かす久米宏さんの素顔 『ザ・ベストテン』突然の降板の裏側は?

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社会や政治に関する発言

 小島さんは久米さんと同い年の同僚アナウンサーで、いわば久米さんのライバルでした。そしたら久米さん、即座に切り返して、

「そうですよ。里見京子さん!」

 里見京子さんと私はNHK放送劇団の同期で、1954年から3年間、NHKのラジオドラマ「ヤン坊ニン坊トン坊」でご一緒した仲間です。それまで久米さんとの会話で一度も出たことのない名前だったので、うんと驚きました。すごい勉強ぶりと瞬発力!

 歌手の方へのインタビューの時間も楽しかったです。「ザ・ベストテン」は、普段テレビに出ない方が出演してくださることも大きな魅力でした。松山千春さんや井上陽水さん、吉田拓郎さんなどがご出演くださいましたが、中でも印象に残っているのは松任谷由実さんですね。旦那様(松任谷正隆さん)が「そろそろ出てもいいんじゃない」と言ったから出演したという話をされたので、私が「エッ? あなたって旦那様が行けっておっしゃればいらっしゃるの?」って聞いたの。そのとき彼女、私のこと「わー、怖い。ウーマンリブの活動家みたいだ」と思ったって、後に教えてくださいました。もちろん、いまはいいお友だちです。

 番組内のインタビューなどで使う情報を集めるのに役立ったのはリハーサルでした。

 例えば印象的な衣装だとか、「こんなことがあった」という雑談から、これは本番で聞きたいなと思う内容をノートやカードにメモして歌手ごとに整理していました。

〈ときには歌番組ではまず流れない社会や政治に関する発言も飛び出し、それが番組からのメッセージになっていた。〉

 シャネルズ(後のラッツ&スター)が「ランナウェイ」で初登場した回のことです。地方からの中継で、そこに来ていた子どもたちにマイクを向けてシャネルズに対して質問してもらったところ、ある少年が「どうして黒人のくせに香水の名前なんか付けるんですか?」と聞いたんです。

「涙が出るほど、悲しく思いますので……」

 私は“くせに”という言葉がショックで、無意識に「くやしいわ」と呟いていたらしいです。あの子はどれだけひどい差別的な言葉を言ったのか分かっていないのだろう、まわりにそういう言葉を使う大人がいるのだろうと考えて、プロデューサーの山田修爾さんに、私が話したい内容までは告げなかったと思いますが、「ひとこと言わせてほしい」とお願いしました。それでシャネルズの歌が終わってCMが明けた後、こう話しました。

「顔の色とか、国籍が違うということで、そういう区別をした言い方をすると、私は涙が出るほど、とっても悲しく思いますので……。みなさん、国籍が違う、そういうことで一段高い所から人を見下すようなふうに……。偶然だったと思うんですよ、あの方は。だけど、どうぞ『何々のくせに』とか言わないでください。お願いします」

 そのあと絶妙なタイミングで、久米さんがこうコメントしてくださいました。

「黒柳さんが涙を浮かべて怒るのは当たり前の話でございます。黒柳さんが泣いていますから、もうやめてくださいね」

 こういう社会的な話をするときには、本番でいきなり言おうと決めていました。

 もし事前に内容についてスタッフに確認したり、リハーサルのときに口にしたりすると、「そういうことは言わないでください」と注文がついたり、局の意向で表現を直されたりすることがあります。それは経験上よく分かっていたので。

 生放送ですから、言っちゃった者勝ちなんです。

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