友人宅で「母親って料理を作るんだ」と驚いた…異質な家庭に育った“お坊ちゃん” 地獄に沈んで出会った“年上女性”に救われて

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年上女性への恋

 おっとりと穏やかで笑顔の素敵な女性だった。いくつか年上だろうとは思っていたが、気にはならなかった。こんな笑顔を毎日見たい。その思いから一歩踏みこんだが、彼女は「私はあなたよりずっと年上だから」とやんわり拒絶された。そうなると燃えるのが恋心だ。年齢なんか関係ない、一緒になろうと囁き続けた。

「彼女に信頼してもらうために就職活動を始めました。数ヶ月後、無事に就職が決まると彼女は心から喜んでくれた。あなたのおかげで社会復帰ができた、あなたがいなければ僕はまた地獄に沈んでしまうと伝えました」

 交際をはじめたとき、彼が27歳、朋美さんは9歳年上の36歳だった。つきあうことにためらう彼女を、誠心誠意、説得するのに2年近くかかった。ようやく「わかった、つきあう」と彼女が言ってくれてから数ヶ月後、妊娠が発覚した。功太さんは体中の細胞が目覚めたような気がしたそうだ。ひたすらうれしかったという。

「会社を辞めた時点で、僕の人生は親とは違うことが証明されたような気がしていたので、僕自身の家庭を作ることに躊躇はありませんでした。成功者にはなれない、経済的に裕福にもなれない、それでも結婚してほしい、3人で楽しく暮らそうとプロポーズしました。そのとき初めて彼女の人生を詳しく聞いたんですが、苦労人でした。母子家庭で育ち、その母親に中学生のときに死なれて、高校進学をあきらめて就職。その後、定時制高校に通ったそうです。専門学校にも行って、鍼灸師の資格をとって、僕と出会ったころは資格を活かして仕事をしていました。実は1度結婚したことがあるという話も聞きました。でも僕の気持ちは揺らがなかった」

 自分の行く道を照らしてくれるような女性だと思ったからこそ結婚を決めたのだと彼は言った。だが、そんな固い決意が、いつしか崩れていってしまう。

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 朋美さんとの出会いによって、功太さんの人生は好転したように見える。だが……。記事後編では、彼の心に生じた変化と、それによって生まれた“後悔”を紹介している。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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