創業50年の老舗「六本木ケントス」「赤坂カントリーハウス」がいま再び盛り上がるワケ…「大人の遊び場」最新事情

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本場・米軍キャンプのノリを伝えたい

“東京の老舗ライブハウス”として『六本木ケントス』と並ぶ歴史を持つのが、やはり1976年にオープンした赤坂の『赤坂COUNTRY HOUSE』だ。

 日本におけるカントリーミュージックの聖地で、こちらも“大人”の遊び場として、ツウが通う店である。マスターの平尾勇さん(80)は、

「店を始めた時には、こんなに長くできると思わなかった。結果は偶然ですよ!」

 と、笑う。現在も自らミュージシャンとしてステージに立つ平尾さんは、31歳で脱サラし、この店をスタートさせた。

「僕がまだ学生の時……'64年に米軍キャンプ内のライブハウスに出演したんだけど、それがものすごく楽しかった! 音が鳴り出した瞬間に客がワーッて、すごい勢いで盛り上がってね。その楽しさをなんとかみなさんに伝えたいっていう思いでこの店を作りました。当時、日本のジャズ喫茶なんかは座って静かにレコードを聞く文化でしたから」(平尾さん)

 ライブは1日2ステージ、ミュージシャンは日替わりだ。テーブル席は全55席で、ステージ前はケントスと同様、ダンスフロアとなっている。

“音楽とダンスは常にセットで楽しむものだからね”と勇さん。その言葉のとおり、店ではバンドが演奏を始めると、“紳士淑女”たちがぞろぞろとフロアに整列し、揃いのカントリーラインダンスのステップを踏み始める。

“年齢”は無関係!

 このダンスを前列センターで踊っているのが、この店でホールも担当する、ダンサーのワコさんだ。テンガロンハットをかぶり、ウエスタンシャツにデニムとブーツ姿がかっこいい。おそろしいほど若見えするが、この4月、御年84歳の誕生日を迎えた。ここ『赤坂COUNTRY HOUSE』にホールスタッフとして40年以上勤務し、30年前からはカントリーラインダンスを教えている。

 この日も開店前から20人ほどを集め、ダンスのミニレッスンを開いていた。80歳オーバーで踊り続ける体力や記憶力、またスレンダーな体型をキープする秘訣は……。

「全部、ダンスのおかげですね。私自身、いまも先生に習っています。ステップにも流行りがあるので、ちゃんとそれを教わってから、みなさんにお伝えしていますよ」(ワコさん)

 基本のステップは20種類ほど。曲によってそれを組み合わせていく。

「大体、200曲くらいは教えてもらったかな。と言っても、どんどん忘れちゃうんですけどね(笑)」とあくまで控えめなワコさんだった。

 バンドの生演奏を前に、ワコさんに教わったステップでダンスを楽しむ老若男女。そこには年齢は関係ない。“ただ自分の好きなことを、お気に入りの場所で満喫している”のが伝わってくる。

 そんな様子をいつもカウンターの端の席で見て楽しんでいる女性が、この店の最古参客、カエさん(83)だ。マスターが店を出してからの古い付き合いだという彼女は、今も週3日は店に通う、ナンバーワンの常連客だという。

「主人がすごくカントリーミュージックが好きで、初めは一緒に来ていたの。そのうちに主人よりも私のほうが頻繁に来るようになっちゃった。もう主人は亡くなったけれど、この店のこの席はずっと“マイシート”。主人が残してくれた、私の居場所じゃないかな」(カエさん)

 お気に入りのミュージシャン・ヒロシが出演する日は、ほぼ逃さずに来店しているというカエさん。メイクもネイルも整った一見上品なマダムだが、定番席で小梅をつまみにバーボンのロックを傾ける姿は、まさしく「カッコいい大人の女性」。年齢を感じさせない元気と美貌の秘密を聞くと――。

「お酒かな。3回で1本、キープボトルを空けているの。息子は医者だけど、“あなたの健康は酒とたばこのおかげかも。もう自由にやってくれ”って(笑)。こんなに自由に楽しく飲める場所を教えてくれた主人に感謝ですね」

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