【緊急提言】球審に「バット直撃」の悲劇を繰り返してはならない…野球界は一刻も早く安全対策を!

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軟式野球の推進も

 ともするとこの制度は、軟式野球を選択する高校が増える流れを促進することになるかもしれない。結果、硬式野球の参加校は減るだろう。が、それでいいではないか。猫も杓子も甲子園を目指し、硬式野球をやる必然性がどれほどあるだろう。もっと軟式野球が盛んになれば、中高年の元球児がグラウンドに戻る可能性もある。それも健全な野球発展を喚起するだろう。

 私は軟式ボールメーカーや愛好者たちに取材し、軟球が大幅な改善を実現し、「過剰に高く弾まない」「飛距離も出るようになって、硬式に近い野球ができるようになった」と知らされている。もっと積極的に軟式野球の推進を野球界全体で図ってもいいだろう。硬式対軟式の勢力争い的な発想や、変わらないことを良しとする思考停止状態を打破しなければ、目の前に迫る危険も人気逓減も回避できない。

 軽量化して折れやすくなったと言われるバットの強度基準の設定、強度テストの実施も必要だろう。もしくは、木製でも真っ二つに折れない工夫ができないものか。

安心して野球ができなくなる日が

 5月5日の楽天対日本ハム戦でも、7回表に打者・郡司裕也が内野安打を打った際、折れたバットの先が長川真也球審の側頭部を直撃する事故が起きた。幸い、ヘルメットを着用していた長川球審にケガはなかったと報じられているが、もはやこの課題は放置できない。

 昭和49年、私が高校3年生の春に、高校野球で金属バットの使用が認められた。つまり私は金属バット第一世代だが、それ以前の主流は竹バットだった。私のチームでは主力打者だけが木製バットの使用を許され、6番打者の私は竹が定番だった。竹バットは折れてもグシャッと割れ目が入るだけで、真っ二つに折れて飛ぶことは滅多になかった。

 素人の発想で恐縮だが、例えば、木製バットの中心に針金を通し、折れても分離しない工法を編み出すことはできないだろうか。とにかく、なんとか工夫を凝らし、技術の粋を集めて折れたバットによる事故を予防する切実な対応をしなければ、もう野球は安心してできなくなる。

スポーツライター・小林信也

デイリー新潮編集部

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