【緊急提言】球審に「バット直撃」の悲劇を繰り返してはならない…野球界は一刻も早く安全対策を!

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増加する野球の危険性

 江本孟紀氏が、両手をバットから離した打者の行為について、集英社オンラインの《エモやんの月刊野球放談#2》(4月26日)で次のように指摘した。

「あれはね、“危険打法”とかで罰金とか罰則をもうけたほうがいい。ピッチャーは投球がすっぽ抜けて打者の頭に当たれば危険球になる。そういうものが打者にはない。バットというのは危険極まりない凶器なんだから片手を放すのは禁止にしなきゃいかん。フォロースイングまで両手でバットを握るのがバッティングの基本」

 規則で縛る必要もあるだろう。それ以前に、マナーやスポーツマンシップと表現される「規則を超えた約束」がスポーツにはある。「仁義」あるいは「礼儀」と言ってもいい。

 スイングの途中でバットから手を離す行為は「礼儀」を欠いている。「勝つためなら礼儀は二の次だ」と主張するなら、スポーツはもはや社会全体が応援し保護する対象から外されるだろう。

 野球の危険性については、他にも複数の懸念がある。私は打球が投手を直撃する事故の多発と深刻化に背筋を凍らせている。投手の球速が速くなり、打者のスイングもパワフルになって打球速度が上昇し、ライナーが投手を直撃する事故が激増している。頭や胸に当たれば、即死の可能性も否定できない。一部の少年野球では心臓震盪を防止するプロテクターの着用を義務付けている。高校野球では打撃練習で打撃投手にヘルメットの着用を義務づけている。投手の前にはL字型のネットも立てる。だが、実戦ではグラブ以外の防具をつけない状態で投手はマウンドに立つ。

免許制度導入も

 10年以上前、私はデュポン社が開発した衝撃吸収素材の実用化を楽しみにした時期があった。

 菊池雄星選手は高校時代、この素材で作ったエルボーガードを右腕につけて甲子園の打席に立った。スポンジに近い素材だから動きをさほど制約しない。衝撃を受けた瞬間にこの素材は硬くなり、人体への衝撃を大幅に緩和する。この素材を帽子の内側に貼ることで頭部を保護できる。ヘルメットより遥かに軽量だから、投球動作への影響も少ないだろう。ところが、日本の安全基準に適合しないとの理由で商品化が見送られた。いま改めて、こうした新素材の開発と活用も含め、入念な安全対策を熱望する。

 野球界は、高校野球の「甲子園大会」にしろ、プロ野球の「12球団制」にしろ、長年の伝統を聖域化して変えようとしない。議論さえ起こらない「思考停止状態」が続いている。だからあえて、「そんなのありえない」と言われるアイデアも加えて提言したい。

 例えば、「硬式野球への免許制度導入」だ。

 高校野球の地方大会では、甲子園出場を狙う強豪校と1回戦で負けることの多い高校が対戦する場合がある。点差が大きく開く一方的なゲームも悲惨だが、それは一歩間違えば大怪我の可能性もあるという現実が潜んでいる。それを野球界は見て見ぬふりをしている。経験の浅い三塁手が、プロ注目の強打者の鋭いゴロやライナーを顔面に受けたらどうなるか。

 こうした事故を防ぐために「検定試験」を実施し、一定の技量を認められた選手だけが硬式野球をプレーできるといったハードルも安全を保証するには必要ではないか。

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