猫150匹の死骸と暮らしていた女性も…犬や猫を集めたがる“心の病”「アニマルホーダー」とは 「かわいそうが招く地獄」を見た活動家の怒り

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 ペットが“家族の一員”として大切に飼育されるようになった反面、虐待や飼えなくなっての遺棄といった問題も深刻化してきている。2020年に環境省が行った『社会福祉施策と多頭飼育対策推進事業』のアンケート調査では、各自治体に糞尿・悪臭などの多頭飼育に関する苦情が寄せられた世帯数が2,149件あった。この多頭飼育崩壊の主な要因として問題視されているのが「アニマルホーダー」という存在だ。

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 アニマルホーダーとは、大量の犬や猫を自宅などにため込み、適切な世話ができずに劣悪な多頭飼育状態を生じさせる人を指す。2022年に神奈川県で起きた犬97匹、猫60匹が保護された多頭飼育崩壊事件や、昨年の岡山での糞尿、遺骨だらけの住宅から猫66匹が保護された事件などの背景に「アニマルホーダー」の存在があったとされる。

 アニマルセラピーを長年研究し、ペットと人間の共生についても詳しい精神科医、東京・世田谷区のあいわクリニックの横山章光院長は「アニマルホーダーは“精神疾患”のひとつです」と話す。

「アメリカ精神医学会が作成している診断基準のマニュアル・DSM-5にも2013年、やっと“ため込み症(ホーディング)”が追加され、ホーディングが精神疾患であるという基準はできました。ただし、“何匹飼育しているからホーダーである”という基準がなく、単純に頭数では定義できないんです」(横山医師、以下同)

ホ―ダ―の特徴とは

 ただし、その特徴として「近所との付き合いがない、関係を持とうとしないタイプ」「犬より猫を集めるケースが多い」「死骸は放置、病気でも放置、多くは名前をつけない」「ひとり暮らし、50~60代の女性が多い」などがある、と横山医師は言う。これは、多頭飼育問題を起こす飼い主には女性や高齢世代が比較的多い傾向を指摘している環境省の資料とも一致する(もちろん男性や若年層にも事例はある)。

「家族など同居人がいる場合は問題が隠されることも多いのですが、親や配偶者の死をきっかけに一人暮らしになることで、監視役がいなくなり、可視化されることがある。また単身となって社会性がおかしくなってしまった場合もあります。これが独りで淋しいということならば大事に飼育するはず。けれども、適切なお世話をしないホ―ダ―は“動物集め”で、虐待です。自家繁殖してしまい、増えることが多頭飼育の一番の問題点ですね」

 ホ―ダ―が集めがちなのが「猫」なのはなぜか。

「猫は犬より鳴き声がうるさくないのでたくさん集めてもバレづらく、室内でコッソリ飼える生きものだから。また犬は散歩が必要なこともあり、アウトドア派が好みやすい動物だからでしょうか」

 アニマルホーダーの問題については、保護猫活動を行うボランティアが声を上げたことから社会的に注目されるようになった、と続ける。

「動物の有無という違いはありますが、基本的には“ゴミ屋敷の動物版”と捉えていいかと思います。これには脳の前頭前野の機能障害などの認知機能、ASD(自閉スペクトラム症)に似た特性、知的障害、また社会的な孤立といった複雑な要因が絡み合った“精神疾患”なのだと私は考えます。ゴミ屋敷については近隣住民にしか影響がありませんでしたが、アニマルホーダーは動物愛護の観点で問題が提起されたので、関心が広まりましたね。多くのホーダーは“動物がかわいそうだから”と主張しますが、これは他者を黙らせるために彼らが学習した“最強の盾”でしかない。実際には動物を大切にしていませんし、動物が痩せようが病気になろうが気にしていませんから」

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