猫150匹の死骸と暮らしていた女性も…犬や猫を集めたがる“心の病”「アニマルホーダー」とは 「かわいそうが招く地獄」を見た活動家の怒り

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近所からの通報で

 東京で保護猫の譲渡会を開催し、飼育放棄や多頭飼育崩壊などの支援活動も行うグループ『しあわせにゃんこ』の代表者・山本紀之さんは、実際にアニマルホーダーの現場を見てきた。

「私が見たケースでは、“自分が救わなければ”というよくわからない使命感に駆られる人たちがそういったことをしがち。でも客観的に見ると、その人の家に入れられるより外にいた方が幸せだよね、という猫たちがほとんどです。

 要するに、自分を正当化するための思い込み。家の中で死んでしまった子については“保護してあげたのに、死んでしまったものは仕方がない”と。それが続くと感覚がどんどん麻痺してきて、家の中が糞尿だらけになったり、ゲージの中で猫が死んだままになったりしていても、それが飼育崩壊だとは思わなくなる。そして、ほとんどが、近隣からの通報で発覚するパターンですね」

 と怒りをこめて語る。実際、どんな状況だったのか、山本さん自身が見てきた多頭飼育崩壊の現場を振り返ってもらうと――。

「昨年、神奈川県相模原市で起こった、一般家庭での多頭飼育崩壊が本当にひどかった。ペルシャとチンチラという長毛種の猫を111匹飼育していました。去勢・不妊手術をしないままで猫が増えてしまい、どうすることもできなくなったケースでした。僕のところでも何匹か保護しましたが、目や皮膚の疾患があるなど、悲惨な状態でした」

アニマルホーダーの“タイプ”とは

 山本さんが現場で接してきた経験では、アニマルホーダーは大きく二つのタイプに分けられるという。

「ひとつは他人との関わり合いが苦手な人たち。孤立した高齢者などが、動物に救いを求めるパターンです。人間同士のコミュニケーションはうまく取れないけど、猫など小動物に対しては、自分が優位に立てることで満足を得ている。例え猫がどう思っていようと、“この子は自分の考えをわかってくれている”と受け取ってしまう人ですね」

 もうひとつは、ボランティアの多頭崩壊パターン。

「自身の承認欲求がいちばんで、“あなたはボランティアの神様だ”などと持ち上げられ、引くに引けなくなるパターン。自分がいい顔をして、周りからの賞賛を集めたいという承認欲求ですね。昨年、熊本で発覚した多頭飼育崩壊の現場が、まさにこれでした」

 その現場とは、2025年6月に明らかになった、150匹を超える猫が死んだ状態で見つかった多頭飼育崩壊を指す。保護活動に関わっていた飼育者の女性が猫を引き受けすぎ、管理不能に陥ったとされる。

保健所が保護した犬や猫を預かり、里親を探す保護活動をする団体に所属していたこの女性は、団体の活動以外でも独自に猫を預かっていた。団体の代表者に「女性に預けていた猫が死んだ」という相談があり、女性宅を訪れて事態が発覚した。

「実際、保護団体が個人に預けるというケースは多いのですが、きちんと管理をせず、“その人が預かってくれるから”という理由だけで猫を渡してしまっていたのだから、いちばんよくなかったのは、この保護団体だと僕は思います。団体側は“知らなかった”と釈明していますが同罪だし、女性だけを悪者にしたトカゲの尻尾切りみたいなもの。とはいえ、この女性も異常ですよね。100匹以上の死骸と生活していたんですから」(山本さん)

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