「他人と仲良くなる」「お店の常連になる」ために頭に入れておきたい最適の「回数」は? 古市憲寿氏が教える「コミュ力不要の社交術」

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 親しくなりたい人に積極的にアプローチすることで、本当に友人や恋人になれることもあれば、ストーカー扱いされたり、ハラスメントで訴えられたりすることもある。後者のリスクを考えると、大人が新たに友達を作るには勇気が必要な時代である。

 それでもあまり相手の気持ちを考えすぎずに声をかけたほうがいい――作家・社会学者の古市憲寿氏のそんなアドバイスについては前回記事(【実は「誠意のない人ほどモテる」という真実  大人が友達を増やす時に大切な「社交術」のポイントを古市憲寿氏が解説】)でご紹介した。

 さて、とはいえ大事なのはその先かもしれない。どうやって相手との関係を深めるか。

 古市氏は新著『コミュ力不要の社交術』で、「回数」の重要性を説いている。結論から言えば、短期間に3回会うのを心がけてみては、というのだ。

 古市氏の勧めるやり方は、友達作りはもちろん、ビジネスにも十分応用できそうなロジックに基づいている。

 以下、同書をもとに見てみよう(前後編記事の後編:以下、『コミュ力不要の社交術』「1 社交編 仲間の増やし方」より抜粋・再構成しました)

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「ストーカー」にならないために

 今の時代、過剰な連絡や誘いは「ハラスメント」や「ストーカー」にならないか心配かも知れません。実際、好きでもない人から何度も連絡が来て、嫌な思いをした人もいますよね。

 好意を持たれることは嬉しいけれど、それを執着のように感じると、負担にもなります。特に過剰な好意ならなおさらです。

 同時に、人は、生理的に無理な人以外からの誘いが続くと、あまり乗り気ではなくても「まあいいかな」と承諾してしまうことが多いんですよね。仕事の交渉でも「もう2回も断っちゃったから、次は引き受けてあげようかな」という心理が働いたりします。そんな風に始まった人間関係や仕事でも、うまくいくことも意外とあるものです。

 このさじ加減は難しいのですが、とりあえず2回は誘ってみていいと思います。その返事が素っ気なかったら、とりあえず仕切り直す。もし「本当に行きたいけれど予定が合わない」といった具体的な内容だったら、3回目も誘ってみる。

 そして理想は、あなた自身が「会う価値のある人間になる」ということです(どうしたら「誘われたら嬉しい人になる」かは本書の後半で触れます)。

「本当に気心の合う人」の探し方

 たくさんの人と浅く付き合うよりも、本当に気心の合う人だけが少数いればいい、という考え方もあります。

 ただ「本当に気心の合う人」を見つけるためには、たくさんの人に会ったほうがいいと思います。

 これは単純な確率論の話です。

 一年に新しく知り合う人が10人と、100人だったら、後者のほうが「本当に気心の合う人」に巡り会う確率は圧倒的に上がります。

 恋人も友人も一緒ですが、最初から最高の相手を見つけるのって、すごく難しいと思うんです。

 だからある程度は人に会わないことには、「本当に気心の合う人」も見つけられない。

 さらに言えば、出会った瞬間に「この人だ」と気付くこともあまりない。

 恋愛なら一目惚れもあり得るのかも知れませんが、友情を深めるには回数が必要です。

 多くの人に会って、「この人となら仲良くなれるかも知れない」という人を見つけて、何回も会ってみて、ようやく「本当に気心の合う人」かどうかがわかる。その意味でコミュニケーションに一番大切なのは、トライ&エラーだと言えるかも知れません。

仲良くなる基本は会う回数

 他者と仲良くなるコツは、究極的には回数に集約されます。

 年に一度しか会わない人よりも、毎日会う人に情が湧くのは自然なことです。

 昔の営業マンは理由なく取引先に顔を出していたと言います。根性論に見えて、非常に合理的です。毎日のように会っている人を邪険にするって、なかなか難しいですよね。

 ちょっと怖い話をします。実は洗脳の基本も繰り返し会うことなんです。

 ほとんどの人は、無根拠に身近な人を信じてしまいがちです。政治家や宗教団体は、このシンプルな原理をよく理解しています。

 日本の政治家は過剰と思えるほど、夏祭りやカラオケ大会などの地域イベントに出席します。

 僕の友人の政治家も新年会に150回も出席したと言っていました。本当にくだらないですよね。でも「繰り返し会う」という行為が当選につながるのだから、仕方がないわけです。

 別の政治家からは「田植えは5年持つ」と聞いたことがあります。「田植え」という共通体験をした後は、その後5年間は何もしなくても、自分に票を入れてくれるというんです。

 田植えは極端でも、多くの政治家は握手という身体接触を実践しています。

 経済学者の竹中平蔵さんは根っからの合理主義者です。彼が選挙の時、たくさんの人と握手をしたのが象徴的でしょう。

 握手という習慣は、もともとは宗教儀式だったのが、広く挨拶の習慣として普及したと言われています。トランプ大統領と金正恩から、AKBのメンバーとCDを買ったファンまで、握手は世界中で親密さを演出する手段となりました。

 実際に会ったり握手をしたことのある人を批判するのって、意外と勇気がいるものです。僕は小池百合子さんのコロナ政策をずっとテレビで批判し続けましたが、その時も過去に対談した時の記憶がどうしてもよみがえってしまいました(まあ、批判はしたんですけど)。

初対面から続けて3回会う

 では人とどんな風に会ったらいいのか。

 僕は、「この人と仲良くなりたい」と思える人と出会ったら、初対面から続けて3回は会うようにしています。

 この「続けて」というのがポイントです。不思議なもので、人間って数ヶ月に一度だけ会うような関係を繰り返していても、なかなか距離は縮まらないんですよね。逆に、3日連続で会えば、すごく仲良くなったように錯覚します。

 そして、短期集中で会った人とは、しばらく会わなくても「友達になれた」という感覚が持続するんです。

 3日連続は難しくても、せめて一ヶ月のうちに3回くらい会えると、自分も相手も「仲良くなれた」という印象を持てます。

 この「3回ルール」がいいのは、相性が合わない人と何となく付き合う可能性が減ること。

 よくも悪くも、数ヶ月に一度会う関係を続けているだけでは、お互いの素性ってわからないんですよね。「3回ルール」でこの人と仲良くなれそうと思った人と付き合ったほうが、合理的だと思います。

 ちなみに「3回ルール」は、人間関係以外にも応用可能です。たとえばお店についても同じことがいえます。「行きつけのお店」を作りたいなら、短期間のうちに連続して行って、顔を覚えてもらうのがいいと思います。

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 そんな風に人を誘うのはどうも心理的に抵抗がある、迷惑ではないか――真面目な人ほど陥りがちなこの思考の乗り越え方については、前編(【実は「誠意のない人ほどモテる」という真実 大人が友達を増やす時に大切な「社交術」のポイントを古市憲寿氏が解説】)に詳しい。

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