「優しい父親」から娘を“悪魔”と呼ぶ「殺人者」に… 『埼玉愛犬家連続殺人』犯人の“恐怖の二面性” 実娘が明かす

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「悪魔に魂を売った女三人」

「お父さんから本当のことを聞きたい」

 そんな思いから、B子は昨年、再び関根に手紙を書いた。確定死刑囚に手紙を出せるのは、親族と拘置所が認めた知人だけだ。関根は東京拘置所の係官から、「娘の名前を言ってみろ」と言われたという。本当に娘からの手紙か、確証がない。関根は、娘がすでに結婚しているかどうか知りようがなく、名字が変わっているかどうかも分からなかった。

 戸籍謄本など、親子であることを証明する書類をB子が提出。文通が始まった。

「最愛の娘を待ち焦がれてます、早く会いに来てください、みたいな手紙が最初は来たんです。でも、面会に行く勇気が湧かずにいると、すねて怒りの手紙に変わる。母や叔母さん、おばあさんを罵倒するような内容になるんです」

 そこには、「悪魔に魂を売った女三人」などと書かれていたという。

 関根は、事件のことは答えてくれないが、犬の飼育のことは答えてくれる。どこかから、真実を知る糸口を見つけたいとB子は願っている。B子とA男にとって、事件はまだ終わっていないのだ。

 ***

 関根は2017年、獄中で病死した。75歳だった。69歳の風間はいまも収監中である。

 前編では、両親が共に死刑囚となった子ども二人が直面した苦難の人生について報じる。

深笛義也(ふかぶえ・よしなり) ノンフィクションライター
1959年東京都生まれ。「週刊新潮」に「黒い報告書」を80本以上書いてきた他、ノンフィクションも多数執筆。著書に『エロか?革命か?それが問題だ!』『女性死刑囚』『労働貴族』などがある。2017年、本記事をもとにした書き下ろし『罠』(サイゾー)を刊行した。

デイリー新潮編集部

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