いまや「ニセ性的画像」の“素材”扱い…生成AIの悪用で“いじめ被害”にもつながりかねない学生時代の「思い出の品」に廃止論争
「卒アルに写真を載せないで」
ちなみに、生徒本人や親から「卒アルに写真を掲載しないで」という相談は以前からあるそうだ。A氏が、こう打ち明ける。
「実際、“卒アルに載せないでほしい”という要請は何回かありました。それはいじめっ子と同じ紙面に載りたくないから、という理由でした。私も学年主任や校長に相談してみたのですが、原則として全員掲載の方針なので、生徒の意向を汲むことはできませんでした。
その生徒は卒業後、“卒アルなんていらない”と言って、ズタズタに切り刻んで廃棄したと聞きました」
また、水面下で問題になっているのが、クラスの集合写真や、学校行事の写真である。中学生、高校生がInstagramやTikTokのアカウントを持っている例は多い。なかには逐一、球技大会や文化祭などの写真を掲載し、“いいね”を貰うのに躍起になっている生徒もいる。
「そうした写真に顔が映り込んでしまうことを、嫌がる生徒は多いんですよ。自分に自信があって“陽キャ”な生徒は、とにかくSNSに画像を載せたがります。一方で、そういった子たちと仲が良くない生徒は、“載せないで”とは言いにくい。なので、私のもとに“先生から止めるように言ってほしい”と相談がありました」(前出の教師A氏)
卒アルの在り方を考える機会に
A氏が知り合いの教師から聞いた話では、クラスの集合写真も撮りたくないと言って、拒絶する生徒がいるのだという。やはり、教師の手が及ばないところで、顔写真が悪用されているのだろうか。今後、生徒の写真の扱い方については慎重な議論が必要になりそうだと、A氏が言う。
「ディープフェイクの問題もあって、自分の顔が悪用されるのではないかと、かなり敏感になっている子供が増えてくると思います。併せて、写真が大量に掲載される卒アルの在り方についても、議論が起こってくるのではないでしょうか」
様々な問題がある卒アルだが、一方で唯一無二の思い出の品物として支持する人は多い。その一方で、「掲載されたくない」という生徒の声も、無下にするべきではないだろう。学校生活の思い出はどのように残していくべきか。生成AIなどのテクノロジーが著しく進化している現在、様々な観点から意見交換がなされるべきであろう。
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