接骨院と整形外科はどう使い分けるべき? 専門家が教える、体の不調の「駆け込み寺」の選び方

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開業時間もポイント

 理学療法士としては、身体のメカニズムを専門的に学んだ柔整師であれば、取り扱いにデリケートさが要求される症例でも連携を取りやすいという。

 一例が成長期に発症する腰椎分離症、つまり腰椎の疲労骨折だ。野球のバットやゴルフクラブを勢いよく振ると、腰椎が可動域を超えて回ってしまい、腰椎分離症になることがある。この疾患はエックス線だけでは発見が難しく、CTやMRIでようやく見つかる。

「柔整師ならば施術しているうちにおかしいと感知できるので、整形外科に連絡をいただくこともあります。治療は保存的に(注・手術をせずに)行うことも多いのですが、中には接骨院に患者さんを戻して後療法をお願いすることも。“こういう運動は危険”といったリスクも理解されているので、安心してお任せできるのです」(石井さん)

 齋川さんによれば、接骨院は土曜や日曜、あるいは夜遅くでも開業していたりするため、患者の側にとっては後療法を受けやすいメリットがあるという。

「お住まいの近くに病院やクリニックがない人もいるでしょう。また、あっても理学療法士がいないクリニックも見られます。お仕事の都合で時間が合わない。そうした場合、後療法については担当医師と綿密な連携を取りながら、ご自宅の近くの接骨院でお世話になることをお勧めしたいですね」(齋川さん)

 米川医師は、いいマッサージ師や柔整師は、患者を抱え込もうとしないものだと指摘する。

「治りが悪いのに自身の元において漫然と治療を続けるのはいただけません。画像診断が必要だと感じたら整形外科の受診を勧める施術者や、金子さんがおっしゃるように内科的な疾患が疑われるときにしかるべきドクターへつなぐ施術者が理想だと思います」

「グレーゾーン」の解消

 米川医師によれば、施術にあたって個々の患者と深い意思疎通ができている施術者となら、より「密」な連携が望めるという。

「整形外科では、診察の時間的制約でゆっくり話せないこともありますので、患者さんをよく知るマッサージ師や柔整師のみなさんからの情報は貴重です。双方で補完し合って患者さんをサポートしていけたらという思いを日々強めています。結果的に患者さんが“良くなれば”いいのですから」

 また、国家資格者ができる仕事と巷間のリラクゼーション業のそれとの間に横たわる「グレーゾーン」の解消も急がれる。金子さんはこう提案する。

「リラクゼーション業はあっていいと思います。短時間でそれなりにすっきりしたいという方もいらっしゃいますから。しかし業界の平等性を保つためにも、何より安全のためにも『あはき法』や『柔整師法』並みの法律をリラクゼーション業にも手当てする必要があると思います」

 看板の背後にある仕組み、成り立ち。それを理解せずして健康は守れない。

金子泰隆
1978年生まれ。あん摩マッサージ指圧師。学校法人浪越学園日本指圧専門学校理事長補佐。

齋川栄司
1995年生まれ。柔道整復師。鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師の資格も持つ。

石井 斉
1975年生まれ。理学療法士。日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー。

米川正悟
1981年生まれ。東京城南整形外科院長。2023、26年WBC日本代表チームドクター。

西所正道(にしどころまさみち)
ノンフィクション・ライター。1961年奈良県生まれ。京都外国語大学卒業。著書に『東京五輪の残像』『「上海東亜同文書院」風雲録』『絵描き 中島潔 地獄絵1000日』など。

週刊新潮 2026年4月2日号掲載

特別読物「腰痛 肩こり 骨折 リハビリ 絶対知っておきべき『駆け込み先』の選び方」より

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