接骨院と整形外科はどう使い分けるべき? 専門家が教える、体の不調の「駆け込み寺」の選び方

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「手術は避けたい」人に

 それでも前途に不安を抱く有資格者は、リラクゼーション業に移る場合もあるという。金子さんの懸念は募るばかりだ。

「仕事が少ないとスキルが磨かれなくなることも深刻な問題です」

 街では「接骨院」「整骨院」という看板も見かける。ここで腕を振るうのが柔道整復師だ。名称からはすぐに想起されないかもしれないが、保険治療できるのは「柔整師法」などを受けて五つと規定されている。骨折、脱臼、捻挫、打撲、挫傷(肉離れなど)である。

 以前は、接骨院でも簡易のエックス線装置を設置でき、骨折や脱臼の状態をチェックしながらの治療が可能だった。

 だが、1951年に制定された診療放射線技師法などにより、柔整師はエックス線撮影ができなくなる。仕事がやりづらくなったように見えたが、やはりここでも整形外科と連携しつつ、患者目線の治療が展開されているという。

 柔整師にマッサージ師、鍼灸(しんきゅう)師の資格も持つ齋川栄司さん(30)が語る。

「接骨院は、骨を折ったけれど手術は避けたいと考える方には、骨折箇所を固定することによる保存療法を進める上でお力になれると考えます」

 ただし、と続ける。

「骨折・脱臼はエックス線画像でケガの部位を見極めないと治療が難しいのは事実です。例えば骨折線が関節の内部に及んでいる関節内骨折の場合、治療の際に慎重に関節面を合わせないと、骨がくっついてもズレや段差が生じて関節を動かしにくくなることがあります。これはあくまで一例とはいえ、そうした後々の問題を避けることが何より重要です。そのため接骨院にいらした患者さんでもとりあえず患部を固定した上で、整形外科で撮影してもらいます」

信頼と連帯感

 接骨院から日常的に患者の紹介を受けて連携を図っていると語るのは、東京城南整形外科の院長、米川正悟医師(44)である。WBC(ワールドベースボールクラシック)日本代表チームが優勝した2023年、そして今年もドクターとして同行した米川医師によると、例えば骨折の手術後、1~2週間を経た頃からエックス線撮影をして骨の状態を見る。そうした確認作業を繰り返してやがてリハビリが必要になったとき、紹介元の接骨院で「後療法」をしてもらうという。そうすることで患者側の治療の満足度も高くなるからだ。

 米川医師が言う。

「私がいくつかの接骨院の先生と連携しているのは、当院の患者さんはスポーツ選手が多く、もともと接骨院を利用しているケースが多いからかもしれません。私もスポーツの現場で選手を診ることがよくあるので、選手と柔整師、あるいはマッサージ師との信頼関係の強さを目の当たりにする機会が度々あります。“この施術者でなければ”という信頼、連帯感ですね」

 ギプスなどの固定具が取れた後のリハビリは理学療法士が担うというイメージが強いが、先の齋川さんによれば、固定具などで固まった組織をほぐすのは柔整師の得意分野だそうだ。

 柔整師による後療法と整形外科で理学療法士が行うリハビリに違いはあるのか。

 齋川さんが「あまり違いはありません」と言うと、米川医師率いる東京城南整形外科のリハビリテーション科長で理学療法士の石井斉さん(50)は同意した。

「柔整師も理学療法士も、ケガのメカニズムなどをどう捉えるか、治療をする上で外せないポイントの見極めはだいたい同じです。従って、リハビリの仕方にそう大きな違いがないと考えていただいていいと思います。手技の細部を見ていくと、理学療法士の中でもリハビリの仕方が違ったりします。リスクに配慮しながら、さまざまな方法論でアプローチすることは共通していると考えます」

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