路上の“サックス女子高生”から名門ジャズクラブ満席へ ユッコ・ミラー、出待ち&直談判の突破力
プロになるにはどうすれば……
サックスとの出会いの瞬間からプロになることは決めたが、進むべき道が開かれていたわけでもなかった。
「どうやったらプロになれるんだろうとは思っていたんですが、高2になってから、グレン・ミラー・オーケストラの来日コンサートが伊勢市に来ることになったんです。これはチャンスでしかない、と思いましたね」
普通の人なら、コンサートを見に行くことは考えつく。だが、ユッコは違った。アルトサックスを会場に持っていき、コンサート終了後、楽屋口で団員を出待ちし、「レフト・アローン」をはじめとするジャズの名曲をソロ演奏したのだ。
「もちろん躊躇はあったのですが、やって悔やむよりも、やらないで後悔はしたくないなと思いました。楽団員のかたはとってもフレンドリーで、演奏に合わせて踊ってくれるし、『明日からツアーに一緒に行こうよ』と声を掛けてくださる人もいました。それに対して私は『明日は学校なんで……』って断っちゃったんですけど(笑)」
米プロ奏者に押し掛けレッスンを依頼
ジャズへの傾倒がどんどん進んでいく過程で、名前を知った米国のサックス奏者がいた。ジャズやフュージョンのサクソフォニスト、エリック・マリエンサルだ。ここでもユッコはその“突破力”をいかんなく発揮する。
「エリックのサックスが好きで、『この人に絶対に習いたい』と思ったんです。そんな頃、大阪の楽器店に行ったとき、店内にエリックの来日コンサートのポスターが貼ってありました」
再びチャンス到来。ポスターに載っていた連絡先に電話をすると、イベンターにつながった。「マリエンサルにレッスン受けたいんですけど」と言うと「そんなの、やってないから」とけんもほろろ。ならばと店内のスタッフに関係者の連絡先を教えてもらえるよう頼みこみ、別の連絡先をゲットしたものの、電話してみると結局つながったのは同じイベンター。「またあんたか」とあっさり断られてしまった。
「それでも諦めきれなくて、その楽器店のホールで行われたコンサート当日、店に行きました。そうしたら空き時間にエリックが楽器売り場にやって来たんです。『I‘m a Saxophone Player. Lesson, Please!』と声を掛けると、『Oh! OK!』って。すると隣にあのイベンターのおじさんがいて『君か!』って言われて(苦笑)。でも『本人がOKって言ってるならしょうがないな』ってレッスンを受けさせてくれました。しかも通訳まで引き受けてくれたんです」
後日、スタジオで約3時間にわたり、エリックのレッスンを受けた。基礎的な呼吸法からアドリブの取り方、演奏に対する考え方に至るまで、さまざまなことを教えてくれたエリック。ユッコの素質をすぐに見出したのか、その後、来日のたびにレッスンを授けてくれるようになる。
次ページ:大阪の名門老舗ジャズクラブ「ミスターケリーズ」を満席に
[2/3ページ]



