天海祐希をCM起用しても「コンビニ」の客数はもう戻らない 2026年に進む“量より単価”の方針転換
「広告」以外に手は?
では広告以外で、コンビニ各社が打てる施策は何があるだろうか。
もちろん引き続き、タバコの値上げの“恩恵”にあずかることはできるだろう。2026年度は加熱式たばこの課税方式見直しなどが議論されている。この4月には、加熱式を中心とした価格改定がすでに決まっている。これは、防衛力強化の財源確保に伴う税見直し、加熱式たばこの課税方式の調整、メーカー主導の収益改善が背景にあり、主力銘柄では20~50円程度の引き上げが行われ、一部の紙巻き銘柄にも値上げが及ぶという。しかも、加熱式たばこをめぐる制度見直しは10月1日に第2段階を迎える予定で、年内にさらに影響が広がる可能性が高い。タバコを中心とした価格上昇は客単価を押し上げ、売上を下支えする役割を担い続ける。広告で客数を補いきれない分を、値上げによって補完する構図は依然として続くはずである。
だが、もう一方で注目すべきなのは、デジタルシフトおよび、非食品・サービス拡大の動きだ。例えば、ファミリーマートは2,700万人超をほこるアプリ会員やデジタルサイネージ(主にレジ付近に設置されているディスプレイ)を利用して「コンビニのメディア化」を進めているし、ローソンはAI発注や無人技術を活用した効率化を加速させている。セブン-イレブンも、カフェベーカリーなどの高付加価値商品投入で粗利改善を図っている。これらは単なる客単価対策を超え、「来店頻度を下げても価値を提供する」新しいコンビニ像への挑戦と言える。
現場レベルでは具体的な変化も起きている。近所のコンビニの冷凍食品やチルド惣菜の売場が広くなったという体感はお持ちではないだろうか?これは、まとめ買いニーズの取り込みを狙ったものであり、「1回の来店での購買点数増加」を意図した施策だ。また、セルフレジやモバイルオーダーの導入も、来店ハードルを下げると同時に人手不足への対応にもつながる。ついでにいえば、訪日外国人の回復に伴い、免税対応や多言語表示、キャッシュレス決済の強化も進んでおり、客数減少を“国内依存からの脱却”で補おうとする動きも見える。
ローソンに見る2つの象徴的な動き
「価値を提供する」という点で、ローソンが強化する店内調理の「まちかど厨房」は、近年のコンビニの象徴的な動きだといえる。2025年2月末時点で約9,400店規模まで拡大しているサービスだが、従来のコンビニには難しかったできたて弁当や惣菜を武器に、コンビニを単なる“食事を買う場所”から“食事の提供拠点”へ進化させているわけだ。
また地方のコンビニでは来店客数の減少がより顕著であり、都市部との格差も広がっている。これに対しても、各社は小型店や無人店舗、ドラッグストアとの競合を意識した品揃えの最適化など、「立地別戦略」を強めている。これまたローソンの例で恐縮だが、同社の竹増貞信社長は、2025年後半から2026年にかけての経営方針発表や『カンブリア宮殿』などのメディア出演の場において、「今後の新規出店のうち1〜2割を過疎地域(買い物困難地域)にする」という具体的な数値目標を明かしている。これは単なる出店戦略ではなく、コンビニが“社会インフラ”としての役割を強めていく動きだと言える。
結論として、2026年以降のコンビニは「客数回復を広告で試みつつ、最終的には単価上昇で売上を作る」という二層構造に完全に移行したといえる。繰り返しになるが、これは日本経済が“量の拡大ではなく、価格によって維持される経済”へと移行していることを示す、極めて象徴的な動きである。人口減少・高齢化が進む中、コンビニ各社が「量の限界」を認め、「質と効率」で勝負する時代が本格化しているといえよう。
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