「貴重な収蔵品を捨てるとは何事か!」 博物館の資料“廃棄”問題に怒り心頭な人たちに欠けている視点…学芸員が明かす、2000年以降に収蔵の依頼が急増した理由
“廃棄”のイメージが独り歩きしている
――“博物館の資料を廃棄する”と聞くと、貴重な美術工芸品を捨ててしまうイメージがありましたが、それらであれば廃棄されるのも致し方ないように感じました。ただ、SNSでは、廃棄基準が設けられると“文化財が海外に売られてしまうのではないか”と、懸念する声も上がっていました。
多田:文化財として価値があるものを、勝手に処分するようなことはありません。廃棄にあたっても、しっかりと館内で吟味をしたうえで行っていることは、強調したいと思います。ただ、どんなものでも受け入れた際には収蔵台帳に記録されているので、そう易々とは廃棄はできない。そこで、しっかりと基準を設ける必要があったのです。
――どうも、“廃棄”とか“破棄”という言葉が独り歩きしている印象を受けます。
多田:おっしゃるように、独り歩きしていますね。先ほど挙げた当館の廃棄基準が全国均一に当てはまるとは思いませんし、各館の成り立ちによって廃棄すべき資料は異なるでしょう。各館が、組織的にしっかりと判断すべきことだと思います。
繰り返しますが、博物館の資料廃棄に関する議論は、賛否両論があって当然です。当館ではセミナーなどで説明を行い、住民のみなさんの理解が得られるように努めています。博物館は地域の文化を後世に伝えるのが使命です。貴重な文化財を適切に収蔵するためにも、廃棄の問題についても併せて考えていく必要があると考えます。
第2回【SNSで炎上する博物館の“資料廃棄”問題…学芸員が明かす「収蔵品は15年間で3000点も増加」「欧米では収蔵品の廃棄、売却は一般的」という事実】では、博物館の資料廃棄問題について、足立区立郷土博物館の多田文夫学芸員に、収蔵品の増加の現状や、管理方法、そして運営費の捻出方法などについて伺いました。
[3/3ページ]


