菊池桃子は「卒業」がトップ人気ではない? 中森明菜は「スローモーション」が2番手に 80年代アイドル「再評価」楽曲事情

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 令和になり、SpotifyやApple Musicなどのストリーミング・サービス(ここでは便宜的に「サブスク」と呼ぶことにする)の影響で、日本の若い世代や海外のリスナーが、昭和や平成初期の楽曲を聴いたり、歌ったりしているのを見聞きすることが多くなった。特に、当時の日本の洗練された演奏や歌唱が、今、世界的なシティ・ポップ・ブームとして再評価されている点は大きいだろう。

 今回は、1980年代にデビューした女性アイドルにスポットを当てて、どんな楽曲が流行っているのか、ざっくりと見てみたい。当時、女性アイドルは、若さを最大の武器とすることが多かっため、レコードやCDのシングル売り上げとして“記録”されたヒット曲は、どうしてもデビューから2~3年に集中しがちだ。

 しかし、サブスクでは、当時の最大ヒット曲が今も圧倒的な再生回数を誇るケースがある一方で、シングルのカップリング曲やアルバムにひっそりと収録されていた楽曲がヒットしているケースも少なくない。それは、各アーティストのライブの定番として語り継がれたり、カラオケの定番として歌い継がれたりしてきた、いわば“記憶”のヒット曲と言えよう。また、前述のシティ・ポップとしての再評価曲も、この部類に入るだろう。以下、アイドル本人や関係者の証言を交えながら見ていこう。なお、いずれも2025年末のデータで再検証した。

菊池桃子の証言

 まず、「卒業-GRADUATION-」や「もう逢えないかもしれない」など、80年代にオリコン1位シングルが7作ある菊池桃子のサブスクでの最大人気曲は、なんと86年のアルバム『ADVENTURE』収録の「Mystical Composer」。自身の多感期を彩った作曲家についての想いをつづったミディアム・テンポの楽曲で、作曲を手がけた林哲司自身も「(アルバム全体の流れを整えるための心地よい軽やかな楽曲という意味での)箸休め的な楽曲」と語るほどの隠れ名曲だ。ただ、海外で人気のシティ・ポップでは、こうしたミディアム調がスローな楽曲よりも好まれる傾向にあり、また、桃子のウィスパー・ボイスもほどよくリズミカルに響くので、この曲が最上位なのかもしれない。桃子自身は、2026年3月26日発売の拙著「時代を超える昭和アイドル・ヒット 80年代編 サブスク・チャートと当事者秘話で新発見」(シンコーミュージック)収録のインタビューで、

「今回この曲が1位だと知って、あらためて聴き直したのですが……私も、なんでだろうと思いました(笑)。ただ、コロナ禍に家でテレビを観ていたとき、英会話の番組の中で、アメリカに住むとある少年の部屋でこの『Mystical Composer』がかかっていて、私も家族もビックリ。その少年の日常に溶け込んでいたのがうれしかったです」(菊池)

 と語っている(以下、「」コメントは前出の拙著収録のインタビューより引用)。自身のインスタグラムに外国語での書き込みが増えたことも含め、海外でのヒット現象を実感するようになったようだ。

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