親が保育園を選ぶ基準の第1位は「立地」。通う児童の成長を左右する保育園の実践とは

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園を支える「保護者」の存在

 やまなみこども園の実践は多岐にわたるので、すべてを紹介することは難しい。

 ここで何が行われており、それが子どものどのような能力を発達させ、そして全国からたくさんの人が視察に来るようになるのかについては、『少子化に打ち勝った保育園』を参考にしていただきたい。

 最後に一つ強調しておきたいのは、この園を支えてきたのが、保護者の信頼と善意と希望だという点だ。

 やまなみこども園は、開園以来、地域の事情や制度事情によって認可保育園の指定を受けられず、有料の認可外保育園として経営してきた。少子化が進む中、どれだけ保育の質に定評があっても、補助金がないため、閉園を余儀なくされる認可外保育園は多い。

 だが、やまなみこども園は、熊本で半世紀もの間生き残ってきた。それは親たちが、ここには、他の園では代用できない良質な保育があると確信しているからだ。ゆえに、彼らはバザーや物販で園の運営を支え、「ずっと園とかかわっていたいから」との思いで予定以上の子どもを産み育てている。

 今の日本には、保育園を名乗りながら子どもの成長を二の次にしているところも一定数ある。補助金をもらうため、行政や親に気に入られることを優先し、子どもを置き去りにしているのだ。

 だが、やまなみこども園のように、子どもの発達を第一に考え、極めて良質な保育を提供しているところもある。そこに子どもを入れた親が、子育てに幸せを感じ、「もう一人」と子どもを産み育てていく光景には感動すら覚える。

 子育てに悩んでいる人にこそ、やまなみこども園から学ぶことはたくさんあるはずだ。

石井光太(いしい こうた)
1977年、東京生まれ。2021年『こどもホスピスの奇跡』で新潮ドキュメント賞を受賞。主な著書に『遺体 震災、津波の果てに』『「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち』『43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層』『ルポ 誰が国語力を殺すのか』『教育虐待 子供を壊す「教育熱心」な親たち』など。『ぼくたちはなぜ、学校へ行くのか。マララ・ユスフザイさんの国連演説から考える』など児童書も多い。『ルポ スマホ育児が子供を壊す』(新潮社)はロングセラーとなっている。

デイリー新潮編集部

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