大逆転も可能 早慶から中堅大まで急拡大「総合型選抜」で“受かる人”と知られざる落とし穴
昨今、急速に大学側が枠を広げつつある「年内入試」。従来の一般選抜よりも、学校推薦型選抜や総合型選抜に比重が移りつつあるのが、大学のレベルを問わずトレンドといえるだろう。こうした中、とるべき受験戦略はどう変わってくるものなのか。そして見落とされがちな“年内入試の落とし穴”とは――。これまで全国5000塾、合計2万人にも及ぶ関係者に取材した実績を持つ教育ジャーナリストの西田浩史氏が、その実態を明かす。
国立大学の後期日程まで終了し、大学受験は早くも次なるシーズンの火蓋が切って落とされた。新高三生はもちろん、これから高校、あるいは中学校に進学する家庭にとっても、大学受験の最新動向からは目が離せないところではなかろうか。
そのトレンドとして、学校推薦型選抜や総合型選抜など、いわゆる「年内入試」の存在感が年々大きくなっていることは、受験大学のレベルを問わず意識しておくべきことといえる。
「大学入試といえば、以前は一般選抜の入学者が大半を占めていましたが、今は学校推薦型および総合型という“年内入試”による入学者が、大学入学者全体の半数を超えています」
そう話すのは、この2月に『総合型選抜は何を評価するのか いますぐ知っておきたい新しい大学入試のリアル』(かんき出版)を上梓した、教育ジャーナリストで追手門学院大学客員教授の西田浩史氏。
「少子化の中でより良い生徒をできるだけ早く獲得するために、大学受験市場においても早期化が進んでいます。優秀層の受験者が減っている中堅以下の大学がその先陣をきっていましたが、昨今はMARCHや早慶などの上位私立大、あるいは東北大をはじめとした国立大でも、学校推薦型・総合型の入学者の割合が上昇傾向にあります。たとえば早慶も、年内入試と付属校進学を合わせれば入学者の半分近くに及び、一般選抜組が相対的に減っている。その傾向は、中堅私立大ならなおさら顕著ですね」
こうした変化が生じている大学入試に対して、短期または長期の目線で、どのような受験戦略を描くべきなのだろうか。
「偏差値40」から名門大学へ
まずは学校推薦型・総合選抜型という入試制度について、概要を確認しておこう。
学校推薦型には、指定校制と公募制の2種類がある。前者はいわゆる「指定校推薦」のことで、高校での推薦枠さえ勝ち取れれば、ほぼ100%合格が得られる仕組み。一方後者の公募制は、基本的に誰でも出願できるが、不合格の可能性も残る。
そして昨今耳にする機会も増えたであろう総合型選抜とは、かつての自己推薦やAO入試に近い方式といえるだろうか。学力のみならず、今後の学びに対する意志や姿勢なども踏まえた評価方式で、書類選考後に小論文や面接などの試験が課されることが多い。
全国5000塾の関係者に取材した実績をもつ先述の西田氏は、「総合型選抜こそ大逆転が起こりやすく、ぜひ受験戦略に取り入れたい方式」として、その成功事例についてこう話す。
「自分なりの法律学ノートを作って偏差値40程度の高校から中央大法学部、コンビニアルバイトをきっかけに英語学習を深めた過程をレポートにまとめて、偏差値50程度の高校から筑波大など、私が調査してわかっただけでも、既にたくさんの“逆転”が起こっています。一口に総合型選抜といっても、資格や検定、共通テストの点数などを重視する『実績評価型』の大学(東大など旧帝大で多い)ではこのようなことが起こりにくい一方で、先に紹介した中央や筑波をはじめとした『将来性評価型』の受験区分を設ける大学では、一般選抜では到底合格しえないような逆転劇も十分起こりうるのです」
ただし、と西田氏。
「所属する学校での成績は重要になりますし、また願書に書けるような“個性”が見える課外活動の実績なども重要になってくる。『実績なんて何もない』という方は、たとえば全国の大学などが数か月にわたって開催する生涯学習講座に参加してみるのも一つの手でしょう。参加した理由やそこでの学びをしっかり煮詰めて準備しておけば、説得力のある志望書に仕上げることも可能かと思います」
「将来性評価型」の大学群や、“逆転事例”の詳細などについては、西田氏の著書『総合型選抜は何を評価するのか』で詳しく紹介されている。
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