「おトクなきっぷ」がどんどん減ってゆく… “青春18きっぷ改悪”から始まった鉄道旅クライシス
18きっぷよりコスパよし?の特別企画乗車券
18きっぷだけではなく、JR各社は自社管内で利用できる特別企画乗車券を多種類発売している。
JR北海道とJR東日本は2002年から特別企画乗車券「北海道&東日本パス」を発売してきた。同券はJR北海道とJR東日本、またJR東日本から第3セクターに移管された青い森鉄道・IGRいわて銀河鉄道および北越急行の範囲内の普通列車・快速列車が利用できる。
その一方、北海道新幹線の開業によって第3セクターに移管された道南いさりび鉄道は利用できない。18きっぷと比較してみると利用範囲は大幅に狭いが、「北海道&東日本パス」の使用期限は7日間もある。こちらも18きっぷと同様に7日間連続という制約があるものの、仮に7日間のうち2日間を放棄して列車に乗らずに現地を旅しても18きっぷよりコスパはいい。
筆者は2025年春に18きっぷを利用して西日本へ、2025年夏に北海道&東日本パスを使って青森県・岩手県・宮城県・福島県を旅して回った。東北各県は自動車を前提とした都市構造になっているので、東京の鉄道に慣れていると運転本数が極端に少なく、旅程を組むことに難儀する。
それでも東北本線や常磐線といった運転本数の多い幹線を中心に旅程を組めば、運転本数が少ないことはあまり気にならない。北海道&東日本パスと18きっぷを使い勝手や価格で判断すると、前者に軍配が上がるだろう。
鉄道旅行のクライシスが静かに進行
時代とともに18きっぷは縮んで使い勝手は悪くなっている。そのため、鉄道旅行を楽しみたい乗り鉄は、ほかの特別企画乗車券を駆使するといった代替手段を取らざるを得ない。
しかし、縮んでいるのは18きっぷばかりではない。ほかの特別企画乗車券に関しても、大々的に告知されていないだけで少しずつ廃止もしくはサービスを縮小させている。
2026年2月28日にはJR線とレンタカーを組み合わせて使用できる「レール&レンタカー」が終了した。同きっぷは1978年に販売を開始した「レール&ドライブ」から続くロングセラーの特別企画乗車券で、鉄道では行くことが難しかった秘境や秘湯に足を運ぶためのツールとして用いられていた。
このようにJRの特別企画乗車券は全体的に縮小する流れになっている。これは鉄道旅行や乗り鉄のクライシスが静かに進行していることを物語っている。
その影響は前述したように、鉄道事業者や利用者だけの話にとどまらない。観光客や来街者といった沿線外需要で維持してきたローカル線の経営をじわじわと蝕んでいく。鉄道旅行客という需要が消失すれば、地方都市の観光業と観光関連産業、ひいては地域経済に大きな打撃を与えることになる。
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