「おトクなきっぷ」がどんどん減ってゆく… “青春18きっぷ改悪”から始まった鉄道旅クライシス

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時代とともに使いづらく

 地方都市には福音をもたらしてきた18きっぷだったが、少しずつ売上は低迷していく。18きっぷが売上を減らしている理由をひとつに絞ることは難しいが、売上減の大きな要因として考えられるのは、時代とともに使いづらくなっていることだろう。

 18きっぷは、1982年に“青春18のびのびきっぷ”として発売をスタート。当時は国鉄分割民営化前で、全国各地に線路が延びていた。そのため、18きっぷ一枚で移動できる範囲は広かった。

 しかし、国鉄が分割民営化すると一部の路線や区間が第3セクターに移管されて18きっぷが使用できなくなる。

 例えば、2002年には東北新幹線が岩手県の盛岡駅から青森県の八戸駅まで延伸。重複する東北本線の盛岡駅―八戸駅間は第3セクターのIGRいわて銀河鉄道や青い森鉄道の路線となった。同区間はJR線ではなくなったことで、18きっぷを使って乗車することが不可能になった。

 そうしたJR線を取り巻く環境の変化もさることながら、18きっぷのルール変更も売上の減少に拍車をかけている。

 それまで18きっぷは5枚綴りになっていたため、1人で5日間の鉄道を楽しむことができた。その一方で1枚ずつ切り離して、5人で別々の行程で鉄道旅行を楽しむこともできた。また、家族や職場の仲間で分けるといった活用もあった。こうした使い方は、主にライトユーザーに多かった。

 1996年春から18きっぷは1枚の券になり、使用日ごとにスタンプを押してもらう方式へと改められた。同方式に切り替わっても5人で共同使用することはできたが、きっぷを所持していないと改札を出ることはできないので、5人が別行動する鉄道旅行はできなくなる。家族などで共有して使用することはできても、別々のルートで鉄道旅行を楽しんだり、それぞれが別の日に出かけるという利用が不可能になった。

 それでも多くの18きっぷユーザーは一人で5日間を使い倒すので、あまり問題視されなかった。ところが2024年冬から大幅に使用ルールが変更され、これが18きっぷユーザーの不満を爆発させることになる。

“連続”の縛り

 それまでの18きっぷは、使用期間のうち“任意の5日間”で使用できるというルールだった。これがルール変更によって、使用開始日から“連続した5日間”という厳しい制約がつけられた。

 昨今、長期休暇中の学生でも5日間連続で鉄道旅行に出られる時間的な余裕はない。まして、5日間連続で休暇を取得できる社会人は限られる。リタイヤした高齢者でも5日間も家を留守にできないだろう。

 新たに5日間連続という縛りを設けたことによって、弾き出される旅行者が出てしまうことは明らかだった。そうした18きっぷユーザーの救済措置として、新たに3日間用の18きっぷが発売される。同券も同じく3日間連続使用という縛りがあるため、使い勝手がいいとはいえない。

 2024年冬からのルール変更は18きっぷユーザーだけではなく、在来線しか停車しない地方都市の観光関係者にも影響を及ぼすことになり、各方面から改悪と酷評された。

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